いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 あせぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に
明日の月日はないものを
生きる・1952年・日本/監督・黒澤明
世界の黒澤さん、大ハッスル~
主演の志村喬さんの演技は、なんてゆーか太陽における月のような←
余命わずかと知った人間が、残りの自らの人生を悔いの無い本当の人生へと変える為に“生きて”ゆくのでした。。
一枚のレントゲン写真がある。その写真には末期の胃がんの病状が写されている…
市役所の市民課長である渡辺は、勤続30年無欠勤が目前という模範的役人であるけれど、仕事への情熱はとうの昔に失っています
毎日書類の山に囲まれ、まわってきた書類にただ判を押すだけの無為な時間を送るだけの日々
うじうじしやがって~w
ある日、下町の主婦達が「近所に汚水溜めがあるため子供が病気になる、何とかできないか、例えば公園を作るとか」と相談しに来ます
洒落た二階の息子夫婦の部屋とは対照的に、何もない自分の部屋に置かれた唯一の仏壇の中の妻の遺影を見つめる渡辺
なにもできない渡辺は、一人、布団の中でむせび泣くのでした。。
「その気になって、やれば出来る」
ちょうどその時に 流れるハッピーバースデー
「ワシにもなにか出来る…ワシにもなにか出来る」
汚水や臭いで住民が困っている場所を公園にしようと、縦割りの役所の中を奔走する渡辺さん
あんた極上だぜ~
劇中で渡辺が、キャバレーでピアノの伴奏に乗って唄を歌うシーンがあります
「ゴンドラの唄」という大正時代に生まれたラブソングです。。
余命少ない末期がんと知らされ、絶望の淵に落とされた彼が歌うその歌は、胸をきりきりとえぐられるような悲しさ、せつなさ、やるせなさを漂わせていました…
「公園をつくろう」
…雪の降る中、ひとりブランコに揺られ、あまりにもほのぼのとした笑みを浮かべながら、幸せそうに彼は歌うのでした
いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 あせぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に
明日の月日はないものを
いのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 あせぬ間に
いのち短し 恋せよ少女
いざ手をとりて 彼の舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰れも 来ぬものを