作者: 野火迅
出版社: 角川書店
初版: 2006年5月

時は平安時代。
下流武者の子にして隻眼隻腕の渡辺光網(源雷光)は、父から自分の出生について聞かされる。

辻斬りに襲われた女が抱いていた赤子が雷光であり、
赤子は片目を亡くし、右腕を切り落とされていたとー。

自分の出生の謎を調べるために都に出る雷光。
果たして、雷光の出生の謎、雷光の持つ雷を自在に操れる力は、どのような関係にあるのか。
また、平安の世に起こっている凶事に対し、雷光はどのように関わっていくのか。


主人公雷光が、自分の出生の謎や、自分の力を武器に、都や鬼に立ち向かっていく物語。
物語は雷光、都に凶事をもたらせている朱天童子、安倍晴明と藤原道長などを中心に進んでいきます。

平安時代が舞台だけあり、様々な歴史上の人物が登場します。
一条天皇、安倍晴明、藤原道長、源頼光、坂田金時(金太郎)、渡辺綱etc。

本来、酒呑童子征伐の伝説は、
源頼光が四天王(坂田金時、渡辺綱等)を引き連れ、征伐したとなっています。
物語では酒呑童子が朱天童子、その討伐隊の大将が主人公源雷光として描かれています。
源頼光と雷光がどのような形で関係するのか。ここも作品の見所の一つだと思います。

また、時の権力者、藤原道長が様々な思惑で動く姿もなかなかです。
こういった人間関係が描かれている歴史小説が好きな人にはいいと思います。

ただ、最近流行りのかっこいい歴史上主人公が・・。
という作品ではないので、そういうのが好きな方には少し合わないかもしれません。
作者: 芦辺拓
出版社: 実業之日本社
初版:2004年12月

梧桐(ゴドウ)警部は一般企業に就職後、警察官になった準キャリア。
裁判所帰りに、大阪梅田の近くの骨董街をいつものように歩いていると、
「切断都市」と書かれたギャラリーを発見する。

中に入ると、大阪の浮世絵師が地元の風景を描いた「浪速百景」があり、
奥には、人体パズルのオブジェが「摂津国の悲劇」という題名で展示されていた。

果たして、「摂津国の悲劇」の題名に隠された意味とはー。
そして、大阪界隈で起きている連続切断死体事件の真相とはー。



大阪の地理に関する歴史と連続切断死体事件の関係性を描くミステリー。
他にも、政治家と道路建設問題、ネットやマスコミを通じての事件の姿、
警察内部での準キャリア警部、梧桐の姿なども描かれています。

物語の鍵となるのが「摂津国」の歴史。

明治時代にあった府県統廃合で、十二郡前後に分かれていた摂津国は、
文化圏が同じだった伊丹、尼崎などが兵庫になり、
逆に文化圏の異なっていた河内国、和泉国が大阪として統合されます。

文化の同じだったものは切断され、逆に文化の違うものが統合される。
以前の摂津国から新しい府県が生まれた訳ではなく、全く新しい府県が生まれたのです。


こういった歴史・地理ミステリーは、どこで事件と関わってくるのかを
読みながら考えるところが面白いところの一つだと思います。
それに知らなかった歴史も、部分だけではありますが知ることも出来ます。
今回は、摂津国がどのように今の大阪、兵庫になったのかを知ることが出来て勉強になりました。
作者: 桐生操
出版社: ダイヤモンド社
初版: 2006年7月

奇妙な残酷が好きであるー。
生々しい残酷さが人を惹き付けるものであることも知っている。

理解不能な人々と愛のさまざま・・。
恐ろしくも美しいエピソードが満載。
誰も教えてくれなかった本当に歴史をつくった人々の真実の姿がここに。


ミリオンセラーになった「本当は恐ろしいグリム童話」の作者が描く、
世界の様々な儀式、国王や王妃の日常、商売についてが紹介されています。

内容的には、タイトルにもあるように残酷なものが多いです。
なので、グロいのが好きではない、苦手な方は見ない方がいいと思います。
もちろん、普通の歴史トリビアのようなことも描かれています。
が、拷問法、処刑、魔女狩りなどの記載が圧倒的に多いです。


個人的に気にいったのは、
・古代ファラオの墓に入っていたミイラの骨も売るようになったら欧米の金持ちの間でヒット。
 あまりに多くミイラの骨が盗難されるようになり、エジプト政府が介入するようになる。

・100語につき60ドルで、あの世にいる故人にメッセージを送るというビジネスがアメリカであった。
 方法は、不治の病の人にメッセージを覚えてもらい伝えてもらうようにするというもの。

・アフリカ現地民族の中には、食事することを「恥ずかしい行為」と捉えている部族が多い。
 他人の注意をひいてしまうことが理由で、自分の小屋で食べるか大木の裏で食事をするらしい。


こんな感じで、思わず、なるほど!と思ってしまうことも多数載っています。
世界史に興味があり、残酷なものも大丈夫!という方はいいかもしれません。

ただ、繰り返し言うようですが、グロいの駄目な方は止めた方がいいです。
後は、遅い時間に読むのも危険かと。夢に出てきそうな気がします・・。