クレマチス
「図書館でシネマ」
5月は、「プラン75」
次女と観に行きました。
会場は、ほぼ満席。
まだ40代の次女には場違いに感じる程、高齢者ばかり。
若者が、銃で自死する衝撃的な場面から始まる。
若者の頭が消えた画面に、美しい空と緑が長写。
いきなり、胸が苦しくなりました。
少子化が進んだ将来の日本。
満75歳から、生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行された。
超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムード。
自分達が早く死ぬ事で、社会に貢献出来るという風潮が、高齢者の間に広まっていた。
夫と死別して1人で慎ましく暮らす主人公角谷ミチ(倍賞千恵子)は、78歳。
ある日、高齢を理由に、ホテルの客室の仕事を解雇される。
住む場所も失いそうになったミチは、「プラン75」の申請を検討し始める。
一方、市役所の申請窓口で、積極的に申請を勧めるヒロム(磯村勇斗)、死を選んだ高齢者に「その日」が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑤子(河合優実)は、このシステムの存在に、次第に強い疑問を抱くようになる……
私はミチと同じ78歳。
ものすごーく共感します。
まだまだ体は動くし、仕事の段取りもきちんとできる。
なのに「高齢」というだけで、解雇。
理不尽だね。
離れて暮らす子供に電話するも、いつも留守電。
伝言を入れても、子供からかかって来る事はない。
悲しいね。
「プラン75」を申請して、コールセンタースタッフと電話でお喋りしたり、お茶したり。
ボーリングでたまたまストライクが出て、周りの若者からハイタッチをされた時のミチの嬉しそうな顔。
これこれ!
これなのよ、一人暮らしの高齢者が欲しいのは。
誰かと電話でお喋りしたり、お饅頭食べながら、笑い合ったり、「誰かと関わっていられること」それが大事なのよ。
ミチの子供が息子か娘か分からないけど、たまにでもいいから電話したらいいのに。
そうしたら、こんな選択せずにすんだのに。
ヒロムは、両親を早くに亡くし、プランの申請に来た叔父に偶然出会う。
いよいよその時がきて、病院に入った叔父。
既に冷たくなった叔父を、秘密裏に連れ出すヒロム。
「お喋りの相手をしてくれて、本当にありがとう。とっても嬉しかった!」
と言ったミチの言葉が、遥子を変えた。
その時を迎え、ベッドに横たわり、楽に逝ける薬を吸うマスクを付けたミチ。
だが、突然マスクを外し、病院を抜け出す…。
夕陽を見ながら、歌を呟くミチ。
ミチが立ち去った後の景色が実にいい。
山にかかった太陽が、今にも沈みそうで沈まず、灰色の雲の間から、力強い光を放っている。
正に絶妙なシーンが、長く続く。
そう!
まだ沈めない!
まだまだ輝ける!
輝かなくちゃ!
立ち去るミチの横顔が、とても穏やかで、美しいのが印象的でした。