この物語の時代設定は中世、十字軍華やかなりし頃と思われます。
今しも武装した騎士がアクイラの城へ入っていくと
がっしりとしたレンガ造りの戸口に居た、赤い装いの門番が鉄製(?)のロープを引っ張り上げ
こうして建物と建物の間を、いかにも頑丈な造りの跳ね橋が下りていきます。
完全に水平になった木の橋の上を白い馬に乗った騎士が、スピードを落とさずに乗り込んで来ました。
おおっ~!
こういうシーンを見るのが大好き
待っていたのは、この映画での最大の悪役、アクイラの司教です。
中世ですからね、神に仕える高位の司教に敬意を払う武官に
「私は昨夜神の啓示を受けた。悪魔がこの国に居ると」
「その名はナバール」
「殺せ、傍にタカが居る。そのタカだけは殺してはならぬ。丁重に捕らえよ」
一方、そのナバールも、少年のフィリップに
「2年待った、もう待たぬ」
「これから殺しに行く」
「相手はアクイラの司教だ」
その為にアクイラの地下牢から脱出したフィリップを助け、城に入る手助けしてほしいのですが・・・
司教から向けられた軍勢がナバールを襲います。
大剣を振るい、矢セットも持っていて応戦です。
大きくて重そうですね。
敵の軍勢は10人位、離れた場所から矢で狙われて、ナバールと一緒に居た鷹が
矢傷を負い、上空から墜落してきます。
自分の負傷よりも地面に無惨に落ちた鷹が気になって、ともかく襲撃軍勢を次々に倒し
最後の一人は逃げていきました。
まだ矢を抜かず、布に包んでフィリップに険しい表情で押し付けたのです。
少し行ったところに古城があって、そこにインぺリアスと言う僧がいるから手当を頼んでくれ
大丈夫だ、きっと助けてくれる!
ともかくフィリップは鷹を抱いてナバールの愛馬に乗って、高台のその古城へ駆けつけました。
その僧はナバールが大切にしている鷹だと聞くと、すぐに引き取って丁寧に手当てをしてくれたのです。
いつの間にかあたりが暗くなってきました。坊さんが用事で外へ行った隙にその部屋へ忍び込んだ少年、鷹の様子が心配だったのですが
その部屋の粗末なベッドに横たわっていたのは・・・?
一連の出来事の中、少年は密かに気がついていたのでした。
「あなたは人間ですか? 幽霊(多分精霊?)ですか?」
少年の言葉に、まだ矢を負ったままの美しい女性が
「悲しみの精よ」
どこからか、オオカミの遠吠えが聞こえます。
「じゃあ、あのオオカミは、ナバール?」
薬草を採りに行っていた僧のインぺリアスが急いで現れて、少年を追い出しての治療です。
多少医学の心得があるのでしょうね、無事に矢を引き抜いて女性が眠ったのを見届けて
少年に事情を教えていました。
彼女の名はイザボー、美しき伯爵令嬢です。
父親が十字軍の戦で戦死。イザボーは従兄を頼ってアクイラに来たのですが…
いつか若き警備隊長のナバールと愛し合う仲に
その秘密の恋愛を司祭のインぺリアスに懺悔(ざんげ)したら
このインぺリアスが酒に酔ったはずみに司教に話してしまったのです。
実はこの司教が美女のイザボーを熱烈に恋していて、ラブレターを贈ったら拒絶されたことがあったのです。
自分の恋が叶わないなら、この二人の恋を壊してしまえ~!
とばかりに悪魔と取引、その魔力で
※ 何せ中世の物語りですからね、悪魔など普通に存在していますよ
その結果がご存じの通り、警備隊長だった武官のナザールは
昼は普通の人間、夜になるとオオカミに
美女のイザボーは、昼は鷹に夜になると人間に
もちろん、その事態を知って一番自分を責めたのがこのインぺリアスです。
少年に事情を打ち明けて、不幸な恋人の力になってくれと頼み
一方、彼も中世の神に仕える司祭としてなにやらを試みていました。
とんでもない運命を託された少年フィリップですよ。
夜、イザボーが粗末なベッドに横たわっています。
「あなたはナザールと話しているのよね」
昼は人間のナザールの言葉を鷹のイザボーは理解できない。
夜、人間のイザボーの話をオオカミのナザールは理解できない。
この2年、いつも一緒に寄り添っていても、何と不幸な!
少年の心は同情でいっぱいです。
「負傷した鷹のあなたを預かった時、ナザールが僕に言ったのですよ」
鷹を救ってくれ 私の命だ 生きがいなのだ、と
言ってました
いつか きっと幸せになれる
2人の夢が まことになる、とも
うるんだ目で少年を見つめて、イザボーは幸せに微笑んでいました。
つづく