孫悟空と巨大になった骸骨夫人との闘いは、如意棒の応援もあって

次第に骸骨夫人が劣勢に

 

 

力を失い、身体が燃え尽きようとしています。

その時、何と!釈迦如来さまの声が・・・

 白骨夫人は千年の命が尽きた

 そなたのたましいは灰となり果て

 とこしえに消え失せる

 

 

同時に三蔵法師の若い声が

 お願いです  釈迦如来さま

 夫人を救わせてください

 あの者に何卒機会を

 

それに対して如来さまの静かな声が

 良いか、白骨夫人を苦悩より救うには、人に再生させねばならぬ

 そのためにはそなたも

 いのちを犠牲にして教え導かねばならぬ

 それが出来るか

 

死の炎に包まれながら、白骨夫人は両者の言葉を聞いていました。

お釈迦様の巨大な掌が、瀕死の夫人へ差し伸べられる寸前、夫人はそれに逆らって

三蔵法師の体の中に

 

 

 私を救うことが出来るか

 望みは少ないが、私はけっしてあきらめない

 あなたとともにゆくぞ、結果はどうあれ

 

さすが中国映画の名女優さんです。

これまでの猛々しい表情が、みるみる心もとない幼い少女のような様子になって

 千年が経った・・・ この身体にも慣れた・・・

最期の超能力は自分の身体を炎で焼き尽くすことでした。

 

三蔵法師が孫悟空に話しています。

 白骨夫人は私の体の中で、いのちを絶った

 転生させてやらねば、灰になって消えてしまう

 

 私を信じてくれるか?

 「信じます。お師匠さまを未来永劫!」

 ではその如意棒でわたしを殺してくれ

 「ええっ!」

 

 

 私自身が地獄へでも入らねば、たとえ大雷音寺に着いても経典は得られぬ

 夫人に付き添い私も転生(てんしょう)する。夫人を救えるまで10回でも転生しよう

その覚悟、三蔵法師はこういう方だったのですね。

 

「旅を続けます。お帰りをお待ちしながら」

孫悟空は合掌して待つ法師の頭上に、必殺の如意棒を振りかざしていました。

 

 

まばゆい光に包まれて、三蔵法師の姿が一瞬消えた・・・と思ったら

 

 

そこは雲上の世界。三蔵法師が静かに語りかけています。

 ここまでだ   そなたに付き添うのは

 

  ※ ええっ~?!

10回の転生を重ねても付き添うと言ってたけど、もういいの?

美しく気高い白骨夫人が、天上の世界を歩いていました。

ゆっくりと満ち足りた気品あふれる姿です

 

 

さて地上では、合掌のまま石化したような三蔵法師の像を囲んで

八戒が

 「あれから7日が過ぎたけど、本当にお師匠さまが帰ってくれるかな」

悟空は半ば石化したような三蔵法師の像を背中に背負って、白馬の玉龍の背にまたがりました。

 「旅を続けよう、お師匠さまは必ずここへ戻ってくると信じて」

 

 

三蔵法師の合掌した指先に生気が!

まだ気づかぬ悟空ですが、ふっと傍らの小川に目をやり

 

 

そこには金こじがない悟空が写っていました。

空の彼方では、観音菩薩さまがあたたかな笑顔です。

 

 

 

 

三蔵法師の像を守って、一行は天竺を目指して出発して行きました。

      一応 大団円なのかなニコニコ

               西遊記「孫悟空vs白骨夫人」おわり