出た! 三蔵法師の「破門だ」

事情が何にせよ、深く傷ついた悟空はひとり大空の彼方へ

次の瞬間、潜んでいた白骨夫人が三蔵法師を背後からむんずとばかり掴み、これも大空の彼方、隠れ家へ~

 

 

残された八戒と沙悟浄は、呆然(ぼうぜん)となっています。

あの強力な白骨夫人と対等に戦えるのは悟空だけ、自分ら二人では何ともならない。

 

 

弱気な八戒は、もうこのまま解散しようと。

沙悟浄が怒って、師匠を助けるのが義務だと八戒をボコボコに殴り

何と白馬の玉龍くんも

 「もっと殴れ」と応援ですよ。

 

 

 

 

結局、沙悟浄が馬と一緒に何とか師匠を助け出す方策を、と旅立ち

残された弱気な八戒はそれでも

悟空のふるさと、花果山(かかざん)に悟空を探しに出かけました。

 

一方不思議な洞窟に囚われの三蔵法師

 「なぜこんなことをするのだ」

穏やかな法師の言葉に、憎しみいっぱいの白骨夫人が答えます。

 

 

 「もう転生はいや」

 「人間にはなりたくない」

 「前世で何があったのですか」

白骨夫人はふと暗い表情になって、前世人間の少女だった時妖怪とバレて

どんなに辛い目にあったか、周りの人間らにさげすまれ、いけにえにされかかった思い出があったのです。

老女に化けていた時も、同じことを語っていましたね。

 

悟空は空中を、ふるさとの花果山(かかざん)に向かっていました。

その前方に美しい観音菩薩さまのお姿が

 「悟空、どこへ行くのですか」

 「花果山へ帰ります」

 「花果山はそなたの行くところではありません」

 「ではどこへ」

 

 

 

 

 

 

 「そなたが見限ったのです」

 「なぜ自我を捨てて他人を信じない?」

 「そなたが見ているのは現実、金蝉子は心を見ています」

 

そして観音菩薩さまが現在金蝉子に危険が迫っていると伝えました。

そなたの助けが必要なのですよ・・・

 

八戒は花果山へ悟空に会いに行ったのですが、悟空はいません。

  悟空、どこかで聞いているかい

  お前は不器用だな、少しは耐えろよ

  師匠は若い、お前より数百歳も若いんだぞ

 

その代わりにこんなモノを見つけました。

 

 

へえ~ あのきららかな装束はちゃんと無事で、こんなところにあったんですね^^

 

そこは雪深い岩山の地、白馬の玉龍を駆って沙悟浄が攻め込みます。

そこが白骨夫人のアジトだから

この奥の宮殿に三蔵法師が囚われているから

 

 

さあ、白骨夫人の名前の謂れ、雪をかぶった岩ばかりの台地から

ニョキニョキと骸骨の戦士が湧いてきます。

もとより覚悟の上だ、と沙悟浄が一人で戦っていると、空の彼方から八戒が助太刀です!

いつの間にそんな超能力を… と思えば

花果山にあった衣装を身に着けていたのです。

 

地上では骸骨軍団を相手に、沙悟浄と八戒が

大空では、白骨夫人の黒い裳裾が全宙を覆い、黒い灰が孫悟空を襲いますが

全能の如意棒が跳ね返していますよ。

 

さすがに白骨夫人の勢いが衰えたか、その隙に三蔵法師のもとに駆けつけた悟空は

法師の前で片膝をつき、初めて

 「師匠!」と呼びかけたのです。

 

 

そう言えばこれまでは三蔵法師のことを「和尚さん」と呼んでいました。

観音菩薩さまの具体的な諭しを得て

確かに今までの自分は、見えるモノしか理解しなかったと悟り

若い三蔵法師が秘めている、大いなる深淵を感じたのでしょうか

 

 

今は全身全霊で若い三蔵法師を大切に想い、お守りしようと決意しています。

さて、法師を抱えて洞窟を脱出すると、その前に巨大な骸骨が立ちはだかっていました。

白骨夫人と言われる所以(ゆえん)が今明らかになったのです!

 

びっくり ひやぁ~~あせるあせる

                   最終話につづく