調べると、この 《雪之丞変化》 は1934年(昭和10)~一年間朝日新聞に連載されたんですって。

戦前ですね、軍事色濃い中で、こんな血湧き肉踊る冒険時代劇が新聞に連載されてたなんて・・・

 

さて、雪之丞とあれば、もう一人この方ですね!

 

 

いなせな泥棒の闇太郎(大川橋蔵さん)と、その仕事上の相棒、黒門町のお初(淡島千景さん)です。

闇太郎が豪商から小判や金目のブツを盗むと、お初が独自のルートを使って小銭に替え、貧しい庶民に施しています。

そんなお初が、近頃上方(かみがた)から芝居の興行に来た 中村座の若手女形の雪之丞に一目惚れのようですよ^^

 

その頃、江戸の町は豪商の長崎屋が、金にあかせて米を買占めそれを市場に出さないで隠してしまい、庶民は困窮していたのです。

 

 

雪之丞の父を抜け荷の冤罪で陥れた、三人の人物がこうして揃ってときめいています。

長崎屋は買い占めた米を売らずにもっと値段を吊り上げたいと、土部三斎に江戸町奉行が手入れできないようによろしく、と大金と密輸の宝玉を賄賂に提供していますよ。

 

横にいる広海屋(ひろみや)は、長崎屋ばかりに儲けさせてなるものか!と、実はこっそり大量の米を江戸に運び入れて今の高額で売りさばいて儲けるつもり。

義賊の闇太郎は、そんな中で、江戸の町民の力になりたいと、様子を伺っています。

 

一触即発の不穏な空気が漂う江戸の町、闇太郎が捕り方に囲まれていますね。

 

 

 わざわざ手ぬぐいを盗人(ぬすっと)かぶりしなくても良いのにねぇニヤリ

一方中村座の舞台では、美しい姫君姿の雪之丞の舞いに客席はうっとり

 

 

主役の大川橋蔵さんは、闇太郎での殺陣(たて)と、雪之丞の華麗な舞いと、大忙し^^

 

江戸の町は不穏な空気が漂っています。それをかきたてるような宗教団体の示唆行列、米よこせの庶民の行列・・・

江戸町奉行は、この騒ぎの責任が米買占めの長崎屋、それと将軍の(お気に入りの側室の)権威を利用する旗本の土部三斎にあると分かっていても手が出せないのです。

 

 

それを知ってか知らずか、まだ宿下がり中の浪路の方は、父三斎の屋敷にあって雪之丞との逢瀬を楽しんでいますよ。

三斎は、娘の機嫌をとって、大奥に帰って将軍に三斎や長崎屋をかばってくれることを狙っているのです。

 

 

二人は人目を忍ぶように、屋形船に乗っています。三斎が用意させたものです。

事態は思いがけない方へ。

長崎屋のライバル広海屋が、米の買占め、値段の吊り上げを図っている長崎屋ばかりを儲けさせてなるものか!とばかり、自分もこっそり米を買いつけ江戸へ船で運び込んで来ました。

 

それを事前に察知した闇太郎とその仲間が、何と!

奉行所に密告です。

今夜、品川の船着場に大量の米が運び込まれる・・・

船着場には、奉行所の役人、捕り手が多数、広海屋は今さら吊り上げた高い値段をつけることが出来ずに奉行らの前で大安売りです。

 

 

闇太郎の仲間たちが、大量の小銭をみんなに持たせて

 「これを持って品川の船着場へ行け!今なら安く米が買えるぞ」

 

 

この頃の東映のセットは凄いですね。

貧しい軒、着物もそれらしい。ただ髪形がきれいに結い上げて見えることや、何より皆さん体格が良くて

 「餓死させるつもりか」とむしろに書いた字が空々しい、庶民の皆さんは体格が良くて、餓死だって?

誰が?の風景です。フ・フ・フ・ 良きかな・・・

                            つづく