新たに船長救助に向かった6人のクルー、しかし、転送台から消えたのは女性二人だけでした。

船長をさらったのが容易ならぬ敵であることが、ひしひしと感じられます。

だからと言って、ブリッジ戻って船長席に就いたスポック

 

 

 「ひとまず退却だ!」

えっ? 船長、副長、それに新任の若い女性士官を置いて~?

途端に機関室からの報告、機関施設が作動しないと。

 

一方囚われのパイク船長の独房は今や花盛り、ビーナと新たに詰め込まれた美女二人、

あくまでもビーナとの関係を拒否するパイクに、ならばパイクが日頃憎からず思っていた二人の女性もさらってきて、好きな女性を選べ!と。

 

ブリッジ士官の二人が持っていたレザー銃で撃っても、全く効果なし。それはパイクも経験済みでしたが、思うところがあって二つの銃を壁際に放っておくと・・・

夜、囚人たちが寝た頃を見計らって、物騒な二つの銃を隠そうと、タロス人がそっと忍び込もうとして・・・

 

 

待ち構えていたパイクがタロス人を引っ張り込みます。

超能力を使うタロス人も、捨て身のパイクの力には勝てません。

パイクの脅迫で、とりあえず幻影が消え、壁には大きな穴が。

外へ向かうと、入り口の岩石も実は大きく穴が開いていたのです。

 

 

本当は銃はちゃんと機能していたんですね。

幻影がそれを隠していた。

それでもまだタロス人は余裕の笑顔です。

 「お前は女性一人を選んで、ここで暮らせ。一生安楽に暮らせるようにあらゆる手立てをしよう。さもなくば、お前の船を爆発させる」

進退窮まった船長、女性二人と船を無事に逃がせば、私はビーナとここで暮らそう。

 

聞いていた副長、さっと手持ちの銃のエネルギーを目いっぱいに高めます。

異様な音に、パイクも反応して、彼も銃のエネルギーを限界まで上げます。

さすがにタロス人が不審に感じて

 「何をする気だ!」

 

 

 「このままオーバーロードさせれば間もなくここは大爆発する。お前はビーナを連れて地下に逃げろ。我々はお前たちまで巻き込む野蛮な種族ではない」

この最終手段を思いつき、行動した副長はなかなかに凛々しい女性ですね。パイクも《この手があった》と気づき、続きます。

  彼女の見せ場です。

それに比べてスポックは、慌てふためいていて3人を置き去りに逃げようとしか思いつかないあせるあせる

 (このエピソードでは)

 

タロス人は観念して初めて本心をさらけ出したのです。

 「このままだと私たちはすべて死に絶える。その前に元気な地球人カップルがここに留まって、結婚し子をつくって欲しかった。いつか私たちのこの財産をすべて受け継いでくれるために・・・」

 

初めてパイクの心に同情心が。

でももう遅い。

ビーナに、優しく 

 「一緒に地球へ帰ろう」とパイク

 

次の瞬間、二人の女性は転送機が勝手に作用して、エンタープライズの転送台に帰っていました。

 「船長とビーナは?」

 

 

ビーナは悲しそうに

 「私は地球へは戻れないの」

その愛らしい姿はみるみる・・・

 

 

18年前、コロンビア号が遭難し、ただ一人生き残ったビーナは赤ん坊ではなくて充分に少女でした。今は中年女性、しかも全身傷だらけ、いびつに歪んだ身体だったのです。

 

タロス人が初めて笑顔になって、一人残ったパイクに見せたのは、もとの愛らしい娘になったビーナと、傍らにはビーナが恋したパイク船長が寄り添っています。

 

 

幻影の二人は手を取り合って洞窟の中に入っていきました。

見送るパイクに

 

 

 「ビーナは幻に生き、お前は現実に生きる。幸せが待っていることを祈る」

 

パイクは独りエンタープライズに戻りました。

幻影の惑星が遠ざかっていきます。

 

 

パイク船長の胸に去来する思いは何か~?

  ※ ここから 「タロス星の幻怪人」につながります

 

良く出来たドラマでした。重役さんには却下されましたが、このフィルムは 《宇宙大作戦》 がTVで放送されている時も、いろんなコンベンションで上映されて、幻の名作として有名だったのですよ。

シリーズ化するにあたって、重役さんの要求は

 「女性副長はまだ早い」

 「耳の尖った魔物はいらん。消せ~!」

 

製作者の ジーン・ロッデンベリー氏は一応折れて、女性副長はなくし、その代わりにあの時代まだ人種偏見が強かった世間(特に年寄りの重役ら)に対して、黒人女性(通信士のウーラちゃん)とナビゲーターに中国系日本人(ヒカル・スールー)を起用しました。

 

耳が尖った・・・ スポックこそ、このSFドラマの白眉だったのですよ。

白人の理想的な乗員の中で、異星人のスポックが彼らの正義感を違った角度から見ている・・・

ジーンは、重役らに抵抗してスポックを守り抜きました。

 

 

上記はドラマの最終シーンです。

脚本&プロデュースに

             GENE RODDENBERRY

 

これより、50年以上世界のファンを魅了したスタートレック・シリーズの作者ですキラキラキラキラ

                 おわり