「翻弄」ゆらぎ317『Vanilla sweet No.16』 | jks & …muuminのブログ

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チャン・グンソクうなぎ

妄想の小部屋。少々腐入りです。

苦手な方はスルーしていただきますよう

ご注意ください。

ご訪問してくださるみなさまに心から感謝とお礼を申し上げます。





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Vanilla sweet 其の16

。。。。。。。。。。





It is continution

続きをどうぞ・・・






「帽子、失くしちゃったんだ」

幽霊は悲しそうに言った。


いつも、リビングルームの置時計の横に置
かれていた黒のソフト帽は、昔、幽霊が愛
した恋人の物だった。


愛して、憎み合って、を繰り返した末に、
二人は別れを告げた。


幽霊は、彼が自分から去って行った後、は
じめて彼を憎むことを止め、彼に対する憎
しみが愛のひとつの種類であったことに気
付いた。



その時には


もう、彼は幽霊の前に二度と姿を現すこと
のない人になっていた。



今、帰って来たら


あんなにあなたを憎んだのは、冗談だった
んだよ、と言ってやさしく微笑いかけるの
に。



そう思って、数日の間、彼を待っていたけ
れど、電話一本すら幽霊の許には掛かって
来なかった。



何もかもが遅すぎたことを悟り、幽霊はせ
つなくなった。


毎日のように後悔が彼を悩ませ、それに疲

れて、もう彼の匂いの消え始めた部屋をぼ

んやりと見渡した。





その時に、見つけたのだ。

彼の、たったひとつの忘れ物である黒い帽
子を。


その帽子を手に取って、人差し指で撫でな
がら、まだ心に残っていた恋人の面影の欠
片に別れを告げた。


幽霊はいつの間にか、いとおしさを感じて
黒いソフト帽を抱きしめていた。


そのいとおしさは、ひとつの恋を終えた自
分自身に対してのいとおしさだった。




その後、幽霊は近所のコンビニでちょっと
舌にやさしいスイーツを買ってくるような
ラブアフェアを繰り返していた。


仕様がない。
寂しいのだ。


そんな男の一人が、彼の、黒い帽子を盗っ
て行ったことにひどく腹を立てた。


失って以来、幽霊は帽子のことを考えてい
た。



帽子を探そう!


それは熱を加えれば生き返る思い出の死骸
だったから。


でも、本当に恋しいのは帽子の下にあるも
のだと気付いていた。



あの日



帽子を探しに行ったクラブで酒を飲み、柔
かく体に広がる酔いを心地良く感じなが
ら、ぼんやりとダンスフロアに視線を落と
した。



その時、だった。


彼の体から、心地良い音楽が突然、逃げ出
したのは。


彼はテーブルから身を乗り出して、ダンス
フロアを凝視した。


フロアで優雅に浮き沈みしていたのは、あ
の黒い帽子だった。


人混みの中で上下に揺れる帽子。


それに向かい合って踊っているのが背の高
いがっしりした男であるのを認めて、彼は
帽子を頭に乗せているのは女性だと思った
と言う。


女は黒いソフト帽を目深に被り、緩くカー
ルされた髪から見える金色の大きい輪のイ
ヤリングが、無駄な肉のない顎の線を引き
立てている。


彼女は美人だった。


幽霊の内から、嫉妬に似たやりきれない感
情が吹き出し始めていた。彼は、何故こん
なにも腹を立て始めているのか理解できな
かった。



彼は立ち上がった。
もう、我慢出来なかった。


彼はダンスフロアに走り出て、女の肩を掴
んだ。



「エクスキューズ・ミー」


女は驚いてステップを踏むのを止め、顎を
上に持ち上げて、帽子のつばの蔭から彼を
見た。


パートナーとおぼしき男も不思議そうな表
情で彼女を見つめている。



「その帽子、ぼくのだ。返してくれ」


幽霊はそれだけ言うと、黒い帽子に手をか
けた。


女は慌てて両手で帽子を押さえた。
彼女は完全に混乱しているようだった。



「いきなり何するの!これ、ぼくのだよ!
!」


その声を聞いた幽霊は驚いて帽子から手を
離した。




その時の帽子の女がぼくだったのだ・・・







to be continued



今日もお付き合いいただいてありがとうございます。
いつもいいね!やコメントをありがとうございます。




1年前の今日、招集解除!

家族にいろいろあった1年は
あっという間の一年でした。


「王道のラブストーリー」がしたいとインタビュー
に答えていたぐんちゃん♡


楽しみです♥


待ってるよぉ~(^^♪
見たい!!!

ドラマが早く決まりますように♡



みなさま♡

佳い週末を過ごしてねぇ~~~♬(*'▽')♬♬




あんにょ~ん♡