「翻弄」ゆらぎ136『ムギョル』 | jks & …muuminのブログ

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チャン・グンソクうなぎ

妄想の小部屋。少々腐入りです。

苦手な方はスルーしていただきますよう

ご注意ください。

ご訪問してくださるみなさまに心から感謝とお礼を申し上げます。



。。。。。。。。。。

Byond the time

『時を超えて』ムギョル 其の6

。。。。。。。。。。



It is continution

続きをどうぞ・・・





壁に押し付けられてるぼくの背中を通って、体の中をさぁーっ
と、冷気が流れた。まるで旧約聖書のモーゼが海を割ったよ
うに、体が真ん中から、二つに引き裂かれる感じがして、背
筋がゾクッと震える。

ぼくの居た部屋の方から、誰かがこっちに近づいて来る気配
がして、摺るような、静かな足音がドアの手前で止まった。


ドアの蔭になってるぼくたち。男は振り返らなかった。誰な
のか知っているようで、男は急いで壁から離れ、ぼくの腕を
引いて、床に跪かせた。男も隣で跪く。



「シン・・・」


そう、男は彼に呼び掛けて、ボー!っとしてるぼくに、顎をし
ゃくり、お辞儀をするように促す。ぼくは頭を下げて、床に視
線を落とした。


男は、彼をシンと呼んだ。


・・・ンッ?・・・神様・・・ってこと?

仇名?・・・それとも、名前なのだろうか?




「チョンサ!ムギョルを・・・」


「・・・はい」


男は神妙に答えている。



チョンサ!・・・この男は天使?!???って名前なの?・・・

この二人の関係は?・・・



男はゆっくりと立ち上がり、ぼくを見下ろした。
そうして、ぼくの腕を取り、顔を近づけてくる。

ぼくは腕を離そうともがき、男に抱きしめられる格好にな
った。そんなぼくの耳元に口を寄せて、男が囁く。


「大事な話があるんだ」


そう言われて、逃げようと身構えていた気持ちがぐらつく。
男の話を聞いてみたい好奇心が勝る。逃げるのは後でも
良いかな、と、ふと思った。


ここがどこなのか、何人に見張られているのか解らないが、
ジョンインとビョンゴンさんが必ず助けに来てくれる。その
思いが心の奥底から湧いてきた。



「こっちへ」



男に促され、部屋へ戻る。

ベッドの端にぼくを座らせると、男は椅子を運んできて、真
正面に腰掛けた。緊張してるのだろうか、男は大きな咳払
いをした後、奇妙な話しを始めた。




。。。。。。。。。。




母と名乗った女性は偽物だとムギョルに話す。
以外にも驚かないムギョルに、俺が驚かされた。

やはり・・・と、納得する俺がいる。


ムギョルの本当の母親が生きているのか、どうなのか、俺
は知らない。孤児院で育った割には、ねじれたところが無く、
素直に見えるムギョルは、余計な口を挟まない。元来、無口
だからか、とても聞き上手だ。


俺は、ムギョルを脅した経緯から話をはじめた。



実は・・・



と、男は口籠りながら、BARやクラブでホストのような仕
事をしていたことから話しだした。

男女を問わず気に入れば声を掛け、一夜のアバンチュールを
楽しんでいたらしい。そんな時、誘惑した女性が、雇い主の恋
人だったから、話しがややこしくなった。


BARを出入り禁止にされて、困っていた時にシンと名乗る人
物に声を掛けられた。シンは男を助ける条件を出した。それ
は、ぼくを探し出して、シンの前に連れて行くことだった。


男はぼくを見つけ出し、そうして、ぼくの母と名乗る女性に近
づいた。母と名乗る女性は、金が目当てだったが、男は目的
を見破られ、協力させられたらしい。





「俺、幽霊が見えるんだ」


突然、男に言われた。

「不思議だよな」

男は凝っとぼくを見つめてる。


「唇に触れた瞬間、解った・・・」


と、男の顔色が変わった。


「BARでお前を誘った時、奇妙な感じがしたんだ。お前の
中にもう一人のお前が居るような、そんな感じだ。俺に見
えたということは、そいつは別の世界から来たんだと思う」


「えっ!?・・・」

本当なのだろうか、言葉が出ない。


「俺はあのBARの扉を通って、この世界へ来た。それなの
に、すんなり受け入れられた。不思議なことに、そのBARに
雇われていたんだ。そんなこと、普通は考えられないだろう?
俺は元の世界へ帰りたくて、何度もドアを開けていたんだ。
そんな時、オーナーの恋人が俺の挙動不審な行動に興味を
持ったんだ。ある夜、深酒の勢いで、真実を話してしまった。
彼女は一緒にこっちの世界へ連れて行って!と俺にせがん
だ。俺は家族と友達に会いたくて、もう限界だったんだ・・・」


フゥ~ッ!…と、小さな息を漏らして、男は俯いた。
無表情に見える顔が曇ってる。


「オーナーは彼女との関係を誤解して、俺を出入り禁止にし
たが、それでは俺は帰れない。唯一の道が塞がれてしまう。
俺はシンの言うなりになるしかなかった。ムギョルの中に居
る、もう一人の人もあのドアから帰れるかもしれない」



驚いてるぼくに、シンと名乗る男から、チョンサ「天使」と名
付けられた男は、片頬を上げて薄く微笑い、ぼくの肩を掴
んで針を刺した。チクッ!と虫に刺されたような軽い痛みが
甦る。


「理不尽だと思うな!・・・俺は天使でも何でもない。強いて
言うなら、俺は・・・堕天使だ」


男の声が遠くなり、ぼくは意識を失った。





。。。。。。。。。。





「ふざけてる」


怒りの籠った低い呟き。


「何ですか?」

俺はジョンインに訊ねた。


「あのナンバーは俺の父親の車のナンバーなんだ。父に知ら
せると脅してきたんだ。ビョンゴンさん!電話!・・・」

ジョンインに言われて携帯が震えているのに気付く。
メリからだった。


「ムギョルの母親と名乗る女性を捕まえて、警察に引き渡した
よ。私、どうしたら良い?」


どこに居るのか聞くと、聖水洞の倉庫だと言う。ジョンインが
聞いていて、そこで待ってるようにと、口を挟んだ。


メリは不思議な女の子だ。大学生でムギョルより年下の筈だ
が、どうしてもムギョルより年上に見えてしまう。


姉のようにムギョルに接しているし、時々、母親みたいだ、と
思う事も有る。ムギョルは夢追い人だ。地面から2・3センチ
足が浮いているように見えるムギョルに対して、メリはしっか
りと地に足が着いている。


倉庫街の外れまで来ると、ムギョルの車が見えた。
隣に車を停めると、メリが顔を出す。


「ジョンインさん!脅迫状は女の人が書いたんだって。私が囮
になって、警察官と一緒に捕まえたんだ。」


「危ない事はするな、何かあったらどうする?」


得意そうに話すメリにジョンインが諭した。


「でも・・・」


「でもじゃない。相手がどんな奴か解らないのに・・・」


メリが口を尖らせる。


「父が調べてくれて、みんなが協力してくれたの。ここも調
べてくれたんだけど、誰も居ないって・・・」



そうか・・・


俺とジョンインは顔を見合わせた。
唯一の手がかりが消えてしまった・・・


ムギョル!・・・

ソギ!・・・



ムギョルは、ソギは、どこへ連れ去られたのだろう・・・



「ね~!これからどうするの?・・・どうやってムギョルを見つ
けるの?・・・ね~!ジョンイン!・・・ビョンゴンさん!・・・」


メリの悲痛な声が胸に響く。







。。。。。。。。。。





暑くて目が覚めると、ぼくは板のような堅い物の上に寝かされ
ていた。周りは暗く、目を凝らしても、何も見えない。物音ひと
つしない静かな部屋に、焚火の炎がゆらゆらと揺れている。


その炎に目が慣れてきて、ぼくは薄くて、小さい腰布以外、何
も身に付けていないことを知った。恥ずかしさに身を捩ろうと
したが、体は動かない。


手首と足首、腰は皮のベルトで締められていた。


これって・・・夢?・・・


どこからか馨しい匂いが漂ってくる。
バニラのような、甘やかな薔薇にも似た香りだ。


得も言われぬ馥郁たる香りが部屋中に立ち込めて、その香
りに包まれたぼくは、意識が朦朧としてきた。


この匂い・・・

覚えてる・・・













to be continued



今日もお付き合いいただいてありがとうございます。
いつもいいね!やペタ、コメントをありがとうございます。




来週はCRISHOW Ⅳ~横浜のチケットが届きますね。
横浜と大阪で会えるみなさま…♡楽しみにしています♥




明日は防災訓練で苦手な早起き・・・5時起きです。
今夜は早く寝なくちゃ!ですw(〃艸〃)ワーォ…!!!



みなさま、良い日曜日を~♡





あんにょ~ん♡