片目のジャックと久しぶりに町でバッタリ出会った。
2年ぶりの再会だ。
マリンビレッジで昼間堂々と実験中の野人の竹を密猟しようとしたのがジャックとの出会いだ。
竹が勝手に生えていたと思ったようだ。
野人より5歳年長のジャックはケニアで野生動物保護監視員をやっていた時、密猟者との戦いで片目を失い足も不自由になった。
辺境の密林で生き残る為に武術を身に付けた野人には人ごととは思えない。
野人同様に幼少から自然界で育ち、生き物に対する考え方もよく似ている。
相変わらず趣味で川漁師をやっているようで、天然ウナギやドジョウやテナガエビの話で30分以上立ち話が弾んだ。
ジャックの「目玉」の行方を聞くと・・斧で頭と足をやられたと言う。
額から頬にかけてザックリやられたらしい。
「ズガイコツ・・大丈夫だったのか?」
「割れた」
「割れてすぐ・・フタしたか?」
「フタ・・なかったんだ しばらくの間」
「じゃ 何で・・フタしたんだ?」
額にフタのないジャックは瀕死の重体で、一旦医者も見放したようだが、足の骨を削ってフタをして皮膚も移植したと言う。
足の骨で顔にフタするとは・・医学もたいしたものだ。
「脳ミソ・・削られんで良かったな」
「いや・・ちょびっとやられた」
ジャックは目も良く、風の臭いも水の味もわかり飲めない水も判別、優れた感覚で身を守って来た。
それらが失われてしまい、今は食べ物の味もわからないらしい。
「そうか・・美味しいものご馳走するからビレッジにおいで・・」
うなぎ漁の筒は竹が一番、竹が欲しいと言うので・・
「山ほどあるからあげる、軽トラック一杯でも」
うなぎ漁は秋、川を遡上するスズキの突きん棒、ドジョウすくい、これからはシラウオ漁・・
子供の頃、野人も同じようにシラウオ漁、突きん棒、ドジョウすくい、うなぎ漁に熱中した。
本能をそそられた野人はそれらに同伴することにした、ジャックのお手並み拝見だ。
うなぎ漁の達人のジャックは滅多にうなぎを食べないし、大半は逃がしてあげる。
理由は・・うなぎが可愛そうだから・・・らしい。
今は潜れないがジャックは潜水士の資格も持っている。
ソマリア国境近くで漁師達とよく素潜りでデッカイ海老を獲ったらしい。
漁師達が異常に息が長い理由は、潜る前に船上でマリファナを吸うからだと言う。
「脳ミソ・・ヨレヨレで潜れんだろうが~」
「麻痺するから酸素が少なくて済むかも・・」
「・・ ・・・」
「ボク・・吸わない そんなもの」
親父ギャグのセンスもある・・
ボク・・と言う言葉はやや違和感があるが、まあよい。
心優しいジャックは風貌に似合わず子供のような無邪気な笑顔で人を魅了する。
笑いながら面白おかしく話すジャックは人生を波乱万丈とも思っていない。肩に力も入らず常に今を淡々と生きている。
お腹優しいむ~さんが、代わりに食ってやるかな・・・うなぎ
シラウオは脂がのってマグロのトロのようだと言うのだがさような記憶はない。
味覚・・壊れたせいかもしれんな。
それも食って確かめるしかないだろう。
ミスター・ジャック
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