汽水域に咲くハマボウ | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

野人エッセイす


野人エッセイす


野人エッセイす


野人エッセイす


7月から8月にかけて河口付近の「汽水域」ではハマボウの花が満開になる。

温帯のマングローブのようなものだが、花は黄色で「オクラホマミクサー」の花に似る。

護岸が整備され、干潟が埋め立てられるにつれて数が激減、今では絶滅危惧種に指定されている。

このハマボウは松坂から伊勢の海岸線にかけて群生、点在していたものだ。

ハマボウ群生地は各地で保護されているが、野人も以前のリゾート会社では100万坪の敷地の中に群生する百数十本のハマボウの古木を保護していた。

他にヤブツバキの超大木が数百本、シダの繁みから発掘した低木、自生のコバノミツバツツジは一万本を超えた。

埋もれていた数十キロに及ぶ遊歩道と山道を復元、広大な水生動植物の沢と花菖蒲園も作り、数ヘクタールの果樹、農園と共に管理していた。

水生の沢は観賞用ではなく、網を持った子供達を遊ばせる為めのものだった。

野人は花や蕾を採って食う食性も、花を愛する下心・・いや、品性も持っている。

このハマボウの花はテーマ「植物探訪」で紹介したかった思い入れのある花なのだ。

河口や干潟の生態系が豊かであれば野鳥を始めとする様々な生き物達が集まって来る。

人は海岸線を埋め立て、川を無粋な「水路」に変えてしまった。

さらに陸で分解浄化されない肥料分や生活排水は一気に海まで下り、工場排水は規制されたにもかかわらず海洋汚染が加速された。

汚染は見た目の透明度だけでは判断出来ない。

炭酸ガスや有毒ガス、水に溶けた過剰成分が見えないのと同じだ。

生態系が壊れた透明度の高い海域は世界的中に広がりつつある。

大地の表土と河川、干潟は人知も及ばないほど精巧な浄化槽なのだ。

国土交通省、農水省の役人は一から自然界の仕組みを学び直した方が良い。

その酷さは一般の人や農家にはわからないだろうが、野人は農業だけでなく海に生きている。

毎年のように海に潜っていればこの数十年間で美しい海がどのように変化して来たかがよくわかる。

だからこそこのブログを始め、農業の在り方、洗剤の矛盾を説いて来た。

森羅万象ではなく人間が営利目的で築き上げて来た「常識」の矛盾を数多く「道理」で覆して来たのだ。

洗剤も絶対にやめなさいとは言っていない、必要に応じて使えば良いのだが、人間の道理はその「必要」が多過ぎる。

「運動」ではなく、それぞれが自分で考え軌道修正することを願っている。

人は考える葦・・自らを、子孫を、多くの生き物を滅ぼす核であってはならない。




野人エッセイす