ハエトリグモのクモ太郎に万歳を教えてやった。
野人はそれほどヒマではないのだが、ゴキ子に先立たれて淋しかったのだ。
ゴキ子は懸命に芸を覚えたにもかかわらず、その姿形から読者の支持を得られず不憫だった。
そして得意のでんぐり返しも披露出来ないままこの世を去った。
風呂場まで野人の後をついてきたのがいけなかった。
知らずに頭から湯をかぶったら・・椅子の下からゴキ子が流され排水口に吸い込まれてしまった。
何とか救出したのだがゴキ子は大量のお湯を飲んでゴキの息・・
以前に牛乳で溺れ死んだハエ太郎の時と同様に野人は人工呼吸を施した、ツマヨウジで。
息を吹き返したゴキ子は野人の手のひらで何とか起き上がろうとしていたが何度やっても・・・
ずっこける。
もう一度「ゴキ芸よ~」をやりたかったのかも知れん。
野人にほめられることを生き甲斐にしていたから。
以前から野人の目の前にクモ太郎は住み着いていた、ハエもいないのに・・
パソコンの上の棚だから丁度目と目が合う位置だ。
キーボードやディスプレイで遊ばれると邪魔なのだが放っておいた。
キーボードを打つ指の上にとまっても無視無視~
毎日のように挨拶くらいは交わしていたのだが、あまりにも無愛想な表情・・・
もって生まれた顔だから仕方ないが、せめて全身で喜びを表す「万歳」くらいは教えてやることにした。
いつものように「手でパシー」を使ったが・・
クモ太郎は賢くて言うことをよく聞いた。
次はダンスだな・・・
お特訓の成果
練習中
脇があまい 胸を張って上に両手を開け
そうだ その調子~ もっと立ち上がれ
本番スタート!
ばんざ~~~い
イナバウア・・クモ・・クモバウア~
クモ太郎・・・よくやった えらい
クモ太郎は 何度も万歳を続けた・・
万歳覚えてよほど嬉しかったのだろう
そして・・・滑って落ちた オチ・・た
終わり