大晦日、山へ水汲みに行ったのだが、寒波の影響で雪模様、道はシャーベット状で凍結してはいなかった。
伊勢志摩地方は温暖で、滅多に雪が積もることはないが山沿いで少しは積もる。
風も冷たく、さすがにこんな日に山水を汲んでいる人もいないが、野人の分厚い手ならいくら水に浸かってもどうと言うこともない。
この山道は野人がいつも渓流で水浴びする場所だ。
キイチゴ類、アケビ、サルナシ、マタタビなどの木の実や山菜も豊富で、ハナイカダやイワタバコも至る所で見られる。
いつものように「祠」に向かって手を叩き、「水・・頂戴ね!」と言ってから汲み始める。
ついでに頭からたっぷりかけて・・・久しぶりに山水で頭を洗ったが、秋の風のようにさわやかそのもの・・
タオルがないので、犬のように思い切り頭を左右にブルル~~ンと振って水切り。
多少首すじからシャツの中に滴り落ちて冷たいが、そげなこと気にして人間はやっとれん。
昨年の一月から丸一年間、飲用、コーヒー、炊飯用、料理用としてこの水を使っている。
味だけでなく、この水の持つ力は市販のミネラルウォーターとは明らかに違う。
飲もうと思えばいくらでも喉を通る水だ。
頭を洗えば毛髪は「燃えよドラゴン」のように逆立ち、活力が蘇るのを感じる。
そこら辺りの整髪料やへなちょこリンスに比べたらはるかに快適だ。
この水は、植物、塩と並ぶ人間に必要な本来の水のようだ。
水の持つ力についてはまた書くとしよう。
野人が身を持って体感した驚きの発見もある。
レストランすべては賄いきれないが、読者が食事に来た時はこの水を出している。