少年キャプテンの表情 | 野人エッセイす

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8月末、この日は親子3人貸し切りで海に出た。

お母さんと男の子2人だ。

2人とも目を輝かせて操舵室を覗いているので中に呼び寄せた。

男の子にとって飛行機や船、電車などの乗り物はおもちゃの好みでわかるようにあこがれなのだ。

「ほれ・・やってみろ」と舵を持たせた。

見渡す限り船一隻いなくて浅瀬もない。

船で一番難しいのは真っすぐ走ることで、舵の感覚も車とは違い遅れて効いてくる。

「後ろ・・見てみろ」・・

航跡から極端な蛇行を繰り返しているのがわかる。

操船方法を教えてやると2人とも熱心に聞いていた。

聞いたからと言って上手くやれるはずもない。

やがて船は大きく迂回し始め、来た方向に向いてしまった。

あせり、怖くなり、そしてとうとう操船を放棄した。

舵を固定しても風の抵抗や波に舵を取られ船は必ず曲がるもの。

それを想定し、事前にその分だけ微妙に舵を切るから船は直進する。

つまり真っすぐ走っていても船長は常に舵を小さく切っているのだ。

航海計器には一般計器の他、超音波で水深を測ったり魚群を探知する機械、現在地と周囲の地図を映し出すGPSなどが装備されている。

それらの原理にも2人は興味深々だった。

舵を握るこの表情を見なさい。

ワクワクドキドキの連続、夏休みの良い思い出になっただろう。

未来の可能性は無限大だ、頑張れ青少年。