数か月に一度しか掃除機をかけない野人の家はダニの宝庫だ。
しかし野人はこの家でも一度もダニに食われたことがない。
前の事務所もそうだったが食われたのは最初だけでそれ以来無傷だ。
10年ほど前に会社を興し、倉庫を事務所にして寝泊りしていた。
20畳の一角にブロックを敷き、その上に畳の6畳間を作った。
ダニには二度ほど噛まれたが、痒くて後がうっとおしい。
訪ねて来た人は野人よりも多く噛まれていた。
そこで・・・
ダニに周波数を合わせ、家中のダニに呼びかけた。
「私の名はダニーボーイ、汝らの王であり家の主じゃ!」
「仏の顔も3度まで、今度噛んだら・・
噛み付いたらバルサン焚いちゃうからな」
彼らにとっては水爆に匹敵するバルサンの怖さをとくと言って聞かせた。
そして最後にこう言った。
「その代わり、快適な暮らしは保障する]
それ以来ダニに噛まれることはなくなった。
当然大切な来客を噛むこともない。
だから野人はダニ達との約束を律儀に守り・・滅多に掃除はしない。