野人エッセイす 本物語 1 | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

本の見本が送られて来た。

なんだかけったいな尻切れ表紙で、開くと何も書いていない。

車の中に放っておくと夜電話があった。

「見てくれた?」と。

表紙だけ見たと言うと・・

「あ~~!このオッサンはもう~! やっぱり・・」と嘆く。

送られた箱には資料やらが入っていたようだが、面倒なので本しか見なかった。

本はあくまでイメージサンプルでチェックして欲しいのは資料だったようだ。


話せば長くなるが・・

昨年の秋だったか、古い友人が女子社員を連れて浜松から訪ねて来た。

野人がヤマハでマリーナの支配人をしている頃、彼はヤマハ発動機の社員で交流があった。

とにかく口が達者で生意気で頑固で有名な男だったのだが、神戸商船大出らしく一本筋は通っていた。

世が世なら今頃はタイタニックのような大型客船の船長になっていたかも知れない、口さえ災いしなければ・・・

今は浜松で社員数十人の広告だかHP制作だか、わけのわからない会社を経営している。

そいつが言った、「野人エッセイすを本にしたい」と。

「そんなもん売れるかい」と言うと・・

「面白いから絶対売れる」と言う。

野人は食い物に困ることはないが、極めつけ貧乏と言うのは知っているらしく、費用は彼の会社が出して編集から販売までやると言う。

その「もしかしたらタイタニック男」が言った。

「俺が人を褒めたのを聞いたことある?」・・

そう言えば一度も聞いたことがなく、人をけなすのは耳にイカが墨を吐くほど聞いた。

「その俺が言うのよ、俺が~~!」

実に・・まことに説得力のある言葉だったが、まあどちらでも良い。

「出したければ好きにしなさい」の一言で決まった。

本の出版販売が本業ではなく、売れるからと言うより「出したいから、面白いから」と言うのが本音のようだ。


続く・・