火花が散る畑
物理原人が大磯の実家の近くに実験農園を作ると言うので行って来た。
原人の祖父の土地で、元は畑だったから最適だろうと思えば・・・宅地に整備されていた。
しっかりガラ土を敷き詰め、ローラーまでかけて、しかも塀や立派な門まで出来ていた。
中身はともかく、外周がこんな立派な畑は見たことがない。
原人の「言語研究クラブ」の仲間が原人宅に泊りがけで手伝いに来ていた。
女性二人に、合気道仲間でもある「地下足袋男」だ。それに12月の野人農園講習で一緒だった女性、合わせて5人が懸命に硬い地盤を破壊していた。
周囲が立派な住宅地なので野人、原人、地下足袋男だけなら異様な光景だが、女性陣のおかげで瓦礫に花と言うのが救いだった。
原人の言うことはあまりアテにならない。これでは百姓と言うより土方ではないか。
ツルハシをふるうのは「地下足袋男」で、彼の職業はデザイナーだが、その手にはペンではなくツルハシによる無数のマメが・・
深く掘り起こす時間などない。掘れた土を硬い地盤の上に乗せるだけにした。
うねの柔らかい部分は10㎝から20㎝、2㎝のところもあるが表面さえ土があれば何とかなる。屋根の上だって草は生えるのだ。あとは植物の根が耕してくれる。
ツルハシをふるう度に「火花」が散る畑は、一見、それらしきものに変貌して行った。