野人の知床旅情 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

森繁久弥さんが亡くなったが、俳優としてだけでなく色んな意味で息の長い人だった。海が好きで大きなクルーザーを所有していたが、野人がヤマハ施設のマリーナの責任者の頃、佐島マリーナのオーナーでもあった。直接の交流は無かったが森繁さんの御子息とは交流があり、野人を訪ねて三重まで来たこともあったが、彼も既に亡くなっている。森繁さんと交友の深い俳優の竹脇無我さんも海が好きで一緒に釣りをしたが、森繁さんの佐島マリーナ、江の島マリーナを回った時にシーボニアマリーナで偶然再会した。

森繁さんが作った歌で一番好きだったのは小さい頃のテレビドラマ「七人の孫」の主題歌で、今でも時々頭の中をメロディーが流れている。

知床旅情も同じで、大学生の頃、旭川での空手の合宿の帰りに電車を間違えて寝込んでしまったら終着駅の網走で車掌に起こされた。周遊券は持っていたが所持金は千円だった。

野人の小さなカバンには、空手着と文庫本とパンツ一枚の三つしか入ってなかった。海外も同じでいつも入れるものが思いつかないのだ。芝生で野宿したが、さすがに9月の網走の朝は寒くて目覚めは早かった。東回りで帰る途中下車したのが知床で、そこで野宿する予定だった。オロンコ岩の下の海で「エサ調達」、素っ裸で海に入り、水中メガネはなかったが潜って貝を獲って磯で焼いて食った。海と山と川があれば野人は食い物に困ることは無い。水は冷たくて体を温める為に沖に向かって全速クロール、背泳ぎに切り替えて上を向くと、オロンコ岩の上から丸見えで、女子大生達にオチンチンを見られてしまった。彼女達は民宿に泊まっていたが野人の為に夕食の残りをとっておいてくれた。さらに野宿の野人を憐れんで窓からそっと部屋に入れて内緒で泊めてくれた。野人はエサも寝床もまったく気にしないのだが、何て優しい娘達だ。見られて・・良かった。

知床旅情・・良かったな。森繁さんの冥福を祈ります。