マウスの横で 黙々と食う・・ゴキ
パソコンで原稿を書いていると、マウスを持つ手がモゾ・・とした。見ればゴキの奴がヒゲ・・くっつけているではないか。
「この・・バカもん~!」野人はそこまでゴキが好きではない。
ゴキがすり寄って来たのは先日に次いで2度目だ。野人の後をくっついてヨタヨタついて来る「ゴキ太郎」に最後の晩餐を与えて異次元への旅立ちを見送ったのは数日前。ゴキ太郎の遺言で聞いたのだろうか、こいつまで馴れ馴れしい。何十年もゴキブリを見て来たが今年のゴキは変だ。寒さで弱っているとは言え、厚かまし過ぎるではないか。今度はテーブルの上で、しかも手にスリスリして来て触覚で野人の指を撫でる。
仕方なく、またパン屑を与えたらさっそく食べ始めた。ゴキ太郎は30分食い続けたがこのゴキは15分食い続けた。このゴキには「ゴキ次郎」と名付け、パソコンの前に座ったまま目の前で撮影したが、野人のワンパターンの悲しい習性からついに・・・「お手!」・・と、やってしまった。
ゴキ次郎の顔の前に野人の太い指を突き出しても逃げようとしない。手でお手はしなかったが長いひげでお手・・はした。
ゴキもそれなりにお手をすることがわかった。何事も試してみなければわからないものだ。子供の頃から鳥肌が立つほど苦手だったゴキと相互理解が高まったようだ。ゴキは人になつく虫なのかも知れない。
10㎝横でマウスを動かしていてもゴキ次郎は逃げなかった。ふと見るとゴキ次郎がいない。
「ゲ・・何処行った~?」と、頭の上まで撫でて探すと、目の前のパソコンの前にいて野人を見上げているではないか。
「こら・・そこはイカン~! 目ざわりじゃい」
指で突っつくと渋々移動する。さらに押しのけると今度は素早かった。いつものゴキだ。しかもテーブルの裏側へササ~!っと・・移動した。
ゴキもメシを食えば元気になるな。この調子ならあと数日は生きるだろう。
さらばゴキ次郎・・・しかし、次はもういい・・ゴキ三郎は・・いらない。
勘違いしてもらっては困るが、野人はゴキを飼うほど酔狂ではない。
まてよ・・今度すり寄って来たら・・
そうだ!得意の催眠術かけてみるか~・・「おまえは・・鈴虫だ・・スズムシ~」・・と。
やりたかないが・・やってみるか、上手く行けばノーベル賞もらえるかも知れない。ゴキとテレビ出演も悪くはない。
タイトルは・・「リリ~~・・と鳴くスズゴキ」