朝熊山から眺める潮騒の神島 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

対岸は伊良湖岬 手前の三角の島が神島

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神島
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左 知多半島 篠島や蒲郡まで見渡せる
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伊勢内宮の横の朝熊山頂から眺めた伊良湖水道だ。伊良湖水道は国内でも有数の漁場で伊勢湾、三河湾の入り口に当たる。この中心にある島が神島で、三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった。この神島までは野人のマリーナからボートで40分、希望があれば送り届ける。この日は、神島の向こうには渥美半島、伊良湖岬までがはっきりと見えた。伊良湖岬にある恋路ヶ浜もまた島崎藤村の「椰子の実」に登場する。左には伊勢湾と三河湾を隔てる知多半島や、篠島などもはっきりと見えた。伊勢の国は神話だけでなく、色々な舞台にも登場する。野人がこの地に腰を据えた最大の動機は、食べ物に不自由しないからだ。日本列島の中心に位置し、内湾と瀬戸と外洋を有するこの地は魚介類の種類が日本一であり、山と大河にも恵まれ、川魚や動物だけでなく木の実も豊富だ。自在にエサを獲れる野人にとっては天国のようなもの。今のところ鹿や野鳥や猿を狩って生き延びなければならないほど食い物には不自由していない。無益な殺生はしないにこしたことはない。年に数回はこの景色を眺めにここに来る。そして金剛証寺にお参りして帰るのが慣例になっている。