刺身を生臭くなく食べる方法 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

刺身は場合によっては生臭いというイメージがあるが、余程古くないものでなければ基本的には生臭くない。

同じタンパク質の肉だって熟成して腐りかけが旨いと言われるくらいだ。

魚でもブリやマグロなど大型魚はある程度熟成させたほうが食べやすくて旨い。

ブリは活きの良い釣りたてを食べようものなら味もなくガムを噛んでいるような歯ざわりだ。


生臭いのには理由があり、知っておくとこれから役立つだろう。

生臭みの理由は2つある


一つは血の腐敗だ。

血抜きをうまくやってないと身よりも血が先に変質する。

つまり血生臭いと言う事だ。血抜きしない肉などは食べられたものではない。

血抜きは一匹づつしかやれない。

首の骨と尾の骨を切り完全に血を抜いた魚が良いが小ぶりなら首だけでも構わない。

傷一つない魚は血抜きが出来ていないと考えたほうが良い。


よく定置網で揚げてそのまま水氷の船倉に入れた魚をテレビなどで見て美味しそうに感じるが、肉質は良くない。

氷水の中で魚はもがき苦しみ血が回って抜けない。

死後硬直している数時間は美味しく食べられるが夕方には身も柔らかく、血の生臭い臭いがしてくる。

スーパーに並ぶ魚の大半はこれか、同様に血抜き処理出来ない巻き網船の魚だ。

処理すれば翌日も死後硬直が持続することが多く、美味しく食べられる。


朝獲れた魚だから旨いとは限らない

処理の方法次第だ。

当然価格も桁外れに安い。

塩焼きか煮付けで食べたほうが良いだろう。

釣って活かした魚に比べると数倍もの価格の差が出る。

しかし大量に獲れたらやむを得ない。

定置網では大型魚や値のはる魚は出来るだけ先に網からすくって活かすようにしている。


釣りたての魚でも、いくら鮮度が良くても下手な処理をすれば生臭くて、最悪あたって腹痛を起こす。

魚処理の基本は水洗いで表面のヌメリは完全とまでは行かなくても出来るだけ水道水で落とす。

たまに腸炎ビブリオ菌が付着、野人も二時間で腰が立たなくなったこともある。

処理で注意しなければならないのはこのヌメリと内臓だ。


生臭みの元はこの二つで、三枚におろしてから包丁もまな板も洗わずに刺身を作ったり、どこかに付着していたりすれば生臭みは残る。

身の皮を引いたら、一度ジャバジャバ身を水で洗い、綺麗なまな板と庖丁で刺身にすれば間違いない。

身が活きていれば細胞は水を通さないから大丈夫だ。

ただ切り口が波打っていればその分水っぽくなる。


ちなみに、やや古くなって生臭そうな刺身を美味しく食べる方法は、やはり刺身の水洗いだ。

肉も同じやり方でグレードアップする。

よくよく考えたらわかることだが、最初のヌメリや内臓を除いて、身の生臭みは腐敗とまでは行かないが、表面が早く「酸化」を始めているからだ。

だから洗えば随分マシになってどうという事はない。

肉の塊でも表面を洗うか、庖丁でそぎ取れば中は空気に触れていないから大丈夫だ。


養殖のマダイやブリの臭いが気になる人も、刺身を水で洗って食べれば驚くほど臭いが消えて食べやすくなるはず。

スーパーで売れ残って半額になった刺身で試すと良い。

まあ、やってみればわかる。

野人、ウソ言わない・・・それでも臭うようなら、中まで腐っているから食べないほうが良い。


何も・・そこまでして食うことはなかろうが