コーヒーにカタクチイワシ | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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軽食喫茶などへ行くと、よくコーヒーのつまみにピーナツなどのナッツ類がついている。自宅でコーヒーを飲む時も人それぞれで、何も食べない人もいればケーキやお菓子など色んな間食を楽しむ人もいる。刺身や塩焼きを食べながらコーヒーを飲む人は滅多にいないだろうが野人はよくカタクチイワシを食べている。俗に言う「たつくり」で、煮干のようなものだ。ちりめんと同じように茹でて干しただけだから「イワシ」の味しかしないのだが、これがまたたまらなくコーヒーに合うのだ。何を食べようが嗜好は自由なのだが「も~たまらん!」と言うくらい止まらない。これ以上カルシウム食べて骨太になる必要はないが、イワシ食い過ぎたくらいでは副作用もないだろう。そう言えば、高校生の時も、夜中に本を読んでいた時、コーヒータイムには「煮干」をかじっていたような気がする。九州の実家では味噌汁は煮干である「イリコ」と決まっていた。カツオやコンブだしは食べた事がなかった。味噌も白味噌で赤味噌とは無縁だった。野人はこのイリコだしが好きではなく、母親が不精ゆえ、ふやけたダシガライリコがそのまま入っていた。文句を言うと必ず「骨太になるから文句言わず食べなさい」だった。だから余計にダシを出す前のイワシの味が引き立つのだ。何もつけないイワシは本当に旨い。海そのものの味がする。海の食物連鎖では魚類ではイワシが一番食べられているのも理解出来る。イワシが海の魚を育て、野人もまた海に育てられた。5歳まで生まれ育った漁村では年中イワシ、いや・・イリコの臭いが充満していた。夏休み、遊びと墓参りの為に港に下り立つ度に、「何とかならんのかこの臭い・・田舎だなあ~」とため息をついていたのだが今は大好物だ。鮮度抜群の脂の乗ったイワシかサワラが「魚の刺身の王者」だといつも人に話している。マグロのトロはそれらの足元にも及ばない。トロは旨い事には違いないが脂がキツ過ぎて肝心な魚の味がしない。魚臭くないからマグロは好まれるのだろう。