タコにへそ・・などあるわけがない。野人にたぶらかされたのだ。へそと言ったほうがわかりやすいからそのようにした。同じような表現で「ボラのへそ」と言うのがあるが、これもへそではなくボラの心臓だ。一匹に一個しかないから大量に処理する魚しかまとまった数は手に入らない。ボラはカラスミの時期になると大量に解体されるが卵巣以外はあまり利用されない。卵に栄養分をとられて身はヨレヨレなのだ。その時期になるとボラのヘソが出回る。うなぎの肝も蒲焼き商品で身を大量に使えば余ってくる。しかしこのタコのヘソはまったく出回ることはない。へそと言うのはタコの口と肛門が一つになった「烏口」のことだ。黒くて鋭く、烏の口に似ているのでそう呼ばれている。これで貝やカニを噛み砕くのだ。たまたま野人の会社で1キロ近いタコを30匹処理した。BQやてんぷら用に小分けして真空パック凍結したのだ。本来は内臓と共に捨てる部分なのだが、これがまた美味しくてもったいない。タコの身体では一番運動している筋肉で味があるのだ。圧力鍋で柔らかく炊き上げたが旨い~!! 烏口を種みたいに吐き出しながら食べるのだがこれがまたやめられない。野人、至福の時だ。梅酒とタコで酔っ払いそうだ。