風にそよぐ「ソヨゴ」 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

ソヨゴ

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ソヨゴの葉
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クロガネモチ
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冬の野山で赤い実を付けている木がある。モチの仲間だ。モチノキは子供の頃、この樹皮をはがして石で叩いて繊維をほぐし、川の水で晒しては口の中でクチャクチャ噛んで「鳥モチ」を作った記憶がある。鳥モチは売られていたが自分達で作ったほうが面白かった。知恵を身に付けるのも遊びだったのだ。鳥もちをクチャクチャ噛みながら細い小枝に巻き付け小鳥を拿捕した。メジロなどが多かったが、今思えば可愛そうなことをした。籠の鳥は人間には楽しくても鳥には地獄だっただろう。サバイバルな時代になってからの食糧確保なら役に立つだろうが。

モチの仲間にはソヨゴやクロガネモチなどがあり、常緑樹で冬に赤い実を付けることから庭木などにもよく使われている。ソヨゴの葉は縁が波打ち類似樹木がないからすぐに見分けがつく。葉も皮質で風にソヨソヨとそよぐことからこの名をもらったようだ。実は一個づつまばらに付いている。ソヨゴよりも庭木に使われるクロガネモチは葉は厚くて波打たず、実は群生して鮮やかで見栄えは良い。どちらも小鳥にとっては冬の貴重な食料だ。人間には、食えない事もないが旨くはない。食うのは読者のテラさんくらいだろう。