野菜は石油で出来ている | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

フジテレビの番組でやっていたが、別に原料が石油と言うわけではない。身の回りの製品から肉や野菜にいたるまで石油が関わっている。食べものでは飼料や肥料、設備や栽培管理、運搬コストまでどのくらい石油が使われているか、食品の重量あたりにかかる石油量を計算していた。牛肉では一番使われるのがトウモロコシなどの飼料にかかる重機などの燃料らしい。その量は飼育運搬コストも含めて牛肉の重さの30%。キウリではビニルハウスや温度管理などに石油が使われ、キウリの重量の60%が石油で出来ているという計算だ。メロンにおいては使用量が最大で重量の3倍だ。つまり1キロのメロンに3キロの石油が使用される。価格にそれだけの石油の料金が含まれていることになる。テレビやエアコンなどの製品が出来上がるまでは信じられないほどの石油が使われている。これでは石油と供に物価が上がるのは当然だ。石油に依存しなければならない文明がいつまで続くのだろう。これでは地球温暖化が進むのは止められない。数十年前までは野菜に石油はそれほど使われていなかったはずだ。肥料は買うものではなく身の回りから賄っていた。農薬がふんだんに使われるまでは小川も綺麗でホタルやドジョウなどの生き物もたくさん生息していた。大量の農薬精製にも石油が使われる。トマトやキウリは夏の野菜で冬に食べる人も作る人もいなかった。食べたい気持ちはわかるのだが、無理に食べなければならないのだろうか。しかし販売されていれば買いたくなるのは自然だろう。

野人のピラミッド農園にはハウスもないし、肥料や薬品も一切持ち込んでいない。耕す事はないから重機も必要としない。しかも毎日が多種野菜の収穫だ。一本のクワと草刈り機しか使ったことがなく、そのクワも初期に畑を施工する時以外は普段は滅多に使わない。実験農園で、あえて草を生やす場所も多く、多忙で頻繁に行けず草刈機が必要だが、生産性重視でやるなら「鎌一本」で済む筈だ。この農業を全国に普及させたいと思っているが、基本は「地産地消」。その土地で出来たものはその土地で消費するのが理想的だ。リンゴやサクランボなど産地が限られていれば仕方ないが、日常野菜ははるか遠くの県から運んでくる必要はないはず。消費者が好む色や形の良い野菜を人工的に作り出すのにも大量の石油が消費される。そんな野菜が健康に良いはずはないのだ。野菜は目と美的感覚で判断するものではない。便利さを名目にした過剰な梱包も問題だ。やってみればわかるが、収穫よりも大変な作業で石油コストもかかる。均一な整形野菜を作り綺麗に梱包する、そこまで農家がやらなければならないのだろうか。生産法や流通など、今の仕組みを考え直さなければ農業は衰退の道をたどり、地球環境の悪化もさらに進むだろう。工業製品はともかく、大地から大切な食料を得る農業は石油の使用量を抑えることが出来るはずだ。