ヨモギ風呂で餅肌に・・・ | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

ヨモギは土質や養分を問わず、整地したり山を崩したりすると真っ先に生えてくる生命力溢れる薬草だ。薬用だけでなく食用としても古くから利用されている。お灸に使うモグサの原料にもなり、小さい頃は「ジジババ草」と名づけたことがあるが、止血効果が強く、随分切り傷の血止めに貢献してくれたから「血止め草」「モチ草」の印象が強かった。ヨモギはキク科の多年草で根の張り方が凄まじく、他の草が繁殖する前にあっと言う間に群生する。ヨモギの名前の由来は、四方に根茎を伸ばして繁茂するという意味から、四方草(よもぎ)という説や、良く燃えるということから善燃草(よもぎ)という説もある。葉裏の毛を集めたものが、燃え草という意味から艾(もぐさ)、それに葉がついて艾葉(がいよう)が生薬名になった。

余談になるが、ヨモギは、織田信長が「黒色火薬」を作った原料としても用いられた。「黒色火薬」は、硝石(硝酸カリウムの結晶)と硫黄(いおう)、黒炭を原料にするが、ヨモギには、硝石(硝酸カリウムの結晶)の原料になる硝酸を含有していて、ヨモギを何度も醗酵させて純度の高い硝石(硝酸カリウムの結晶)を作り出して使用した。


艾葉は体を温め、胆汁分泌促進、食欲増進、止血、冷えによる腹痛、胸焼け、下痢、便秘に良いとされ、高血圧、神経痛、胃腸の弱い人は、排気ガスのかかっていない新鮮な若い茎葉を絞って青汁をつくり、砂糖を加えて服用しても良い。
腰痛には、艾葉2~300グラムか生の葉600~1000グラムを木綿袋に入れて煮出し、風呂に入れてヨモギ風呂にすれば良い。ヨモギが効くとか効かないとかよりも、何でも良いのだが「生命力ある自然界の草」から活力をもらうことのほうが大切なのではなかろうか。人の手が入ったものばかりではなく、太古より日本の地にある大自然の香りに触れれば心身共にリラックス出来るはずだ。ツヤのある美味しそうな「ヨモギ餅」を思い浮かべながら入浴すれば、きっともち肌になれるだろう。ヨモギをこよなく愛した小野小町を思い浮かべれば、責任は持てないが・・そこそこの美人にもなれるだろう。人は無の境地で念じればその方向へ向かっていくものだ。