野草茶を楽しむ野人粋人 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

医食同源と言う言葉があるように、野菜は薬食として大切な役割を果たしてきた。

高度成長と共に野菜は大量生産されるようになり、水耕栽培、工場生産など土を使わない野菜も大量に出回り始めた。

本来の野菜の活力は弱まり、薬剤の問題もクローズアップされてきた。

人は安全で健康な野菜に強い関心を示し始めたが、技術も流通形態も急には元に戻れない。

ビタミンなどの栄養分も昭和中期に比べて大幅に低下している。

農業技術の何かが間違っていたのだろう。

野菜は大地のエネルギーそのもの、命あるものは養分と共にそれを吸収して生きている。

近代農業技術が間違っていないなら、化学肥料の野菜は本来の味で美味しく、養分が欠如することもないはずだ。

また病気や害虫に悩まされることもないはず。

自然界はまだまだ人の知能は及ばない。

身の回りには野菜だけでなく、野菜の原点である野草が満ち溢れている。

春の芽吹きの時期、誰もがそれらに自然の活力を感じるはずだ。

それらこそ人の手が入らない完全な自然食品であり、人も含めた動物の命をつなぐものではないだろうか。

山菜ばかりではなく、最近は様々な「野草茶」が売られている。植物を知らなければわからないが、案外その辺にいくらでもあるものが多い。

柿の葉、スギナ、クワ、オオバコ、ドクダミ、クマザサ、クコなどいくらでも野山に生えている。

面倒なら草の代わりに庭に生やしておけば良い。どのようにしても草は必ず生えてくる。

野草の活用には「先人の知恵」が詰まっている。

野菜と同じように体に入れても副作用などない。

漢方薬はその法則に基づいて劇薬も処方するが、これらは民間薬でもあり、野菜と同じように安全な健康食品みたいなものだ。

前の会社では色んな薬草をビンに保管して実験していた。

毒草も試食して確かめたが、毒性のあるものは扱わず、薬効よりもあくまで飲んで美味しい植物を探す為だ。

比較的美味しいと感じたのはクマザサ。クワ、柿などだった。

特に何処にでもあるクマザサを乾燥、ハサミで刻み、15分ほど煮出したお茶はほんのり黄色くなるほどだったが旨かった。

さわやかな甘味があり、夏はペットボトルに入れて冷やして飲んでいた。

効果だけならその辺の健康ドリンクよりもはるかに有効だ。

笹類は疲労回復に最適だが一つ問題があった。

秘められた強烈なパワーとはその利尿作用だ。

お茶や野菜も含め、薬草、山菜には大なり小なり利尿作用がある。

ドクダミにもあるが、中でも一番強烈だったのがクマザサで、二番目がスギナ、健康な人が飲めばすぐにわかる、トイレが極端に近くなるのだ。

ある日、好奇心を持った部下が、保存していたクマザサを内緒で煎じて飲み、それから1時間おきにオシッコヘ行ったらしい。

「強烈ですね~!参りましたよ」と脱帽していた。

笹類なら何でも美味しく。クマザサが大きくて楽なだけ、新芽はサラダでも食べられる。

パンダだって美味しそうに食べているではないか。

いくらでもある野草をもっと活用しても良いのではなかろうか、そうすれば自然本来の活力と言うものが身を持って理解出来る。

理解出来れば今の野菜の何がおかしいのかも理解できる。

薬としてではなく色んな野草や木の葉をブレンドしてその味を楽しむほうが粋なスタイルだ。

一般的なハーブの香りもまた良いもので、レモングラス、レモンバーム、カモミールなど適当に楽しんでいるが、香りは薄くても日本古来のハーブもなかなか味わい深い。

ムー農園には約30種のハーブがあるが、野生のハーブもたくさん植えている、いや、生えていると言ったほうが正しい。

自然界の植物を全て使いこなせば体だけでなく脳味噌も「ハッピー」になってくるようだ。