ほうれん草の根は何故甘い? | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

最近、ほうれん草の根をあまり見かけなくなった。すべて切られて売られている。子供の頃は良く食べたものだが甘くて美味しかった。懐かしく思う人もいるだろう。ほうれん草の根は他の野菜に比べて何故甘いのか。ほうれん草は「アカザ科」に属するが、アカザが改良されたものかは定かではない。アカザは山菜でもあるが畑に群生し、背丈も葉も大きくなるので雑草としては嫌われるほうに入る。若葉を茹でて食べてみたがそんなに美味しいとまでは行かない。アカザの茎は背丈程になり、乾燥すると硬く、土産の杖にされて売られることが多い。同じアカザ科に「ビーツ」がある。独特の甘味がありロシアの煮込み料理ボルシチには欠かせない。ビーツの砂糖用品種にサトウダイコンと呼ばれるテンサイがあり、北海道を中心に栽培され、日本の砂糖消費量の25%を占める。ほうれん草の根は元々甘いものだった。日本古来のほうれん草は根が小指の太さほどもあり確かに甘かった。何故売られなくなったのだろうか。根の細いヨーロッパの品種が大量に出回るが根は切られている。是非、甘くて旨いほうれん草の根を普及させてもらいたいと思っている。