絶品!仙人の大根ダシの茶碗蒸し 前編 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

先日、山奥に友人の仙人を訪ねた。山羊のようなヒゲを生やし、いつもサムエを着た姿は仙人そのものだ。仙人はニンニクを不耕起、無農薬、連作で量産、加工して生計を立てている。肥料はそこに生えた草だけで十分、他から持ち込む必要はない、連作障害は人が生み出した不条理、あるはずがない・・という考えは全く同じだ。互いに交流があり、畑を行き来している。同じ完全自然農法でも異なるところは彼は自然体で精神論、こちらは森羅万象、物理数学の世界だ。具体的な話をしても彼には数学がさっぱりわからないらしい。こちらは自然農法でも近代農法の10倍以上の生産量を目指す「物理農法」だ。国語と数学の談話は噛み合わず、いつも漫才になってしまうのだがそれなりに楽しい。1+1は「必要ない」から0になり、2-1は引けなくて「無我」になってしまう。週末には都会から2人の弟子が通って来て彼の仕事を手伝っている。彼はキャベツと青虫の関係を弟子にこのように教えている、「キャベツに青虫がついている、そのように見えるが実態は青虫はいない」・・と。弟子は首を傾げながらも黙ってうなずくようになったらしい。そこで、「青虫も毛虫もいるものはいる、それで良いのでは? その宗教がかった思考もっとなんとかしろ」・・と言いながらいつも二人でゲタゲタ笑っている。 つまり、キャベツも青虫も一体、必然性があってそうなっているのだからそんなことは気にすることもない、仙人はそう言いたいのだ。まったく同感なのだが・・
仙人の大根畑は夏に数回適当に草を刈る程度で8年間何もしていない。 うねにも通路にも主に似て見境なく大根が出て、桜島だのわけのわからない品種が乱交状態、種も滅多に蒔かないからこんな楽なことはない、「放っておけば勝手に出来る」のだ。
その仙人から究極の野菜ランチの誘いがあった。 「旨いニンジン」を食わせると・・
以前もご馳走になったことがある。子供の時からのトラウマでいまだにニンジンが食べられないのだが行くことにした、野菜の味にうるさい二人を伴って。一人は社員の女性、もう一人は教諭で植物講師の還暦の女性で、魚の味はこちらが優位でも野菜は彼女等に軍配があがる。