ある夜勤の日の出来事です…
助けて下さい~
全室個室の特別養護老人ホームで働き始めて半年が経った頃、私はパートから正社員になりました。夜勤のシフトにもしっかり入るようになりました。
ワンフロアに4ユニットあるのですが、スタッフは2ユニットで1グループが割り当てられ、その中で早番、遅番、夜勤を組んでいきます。
あの日の夜勤は同じくらいの年齢の女性スタッフとでした…
朝から蒸し暑い日で、いつ雨が降り出してもおかしくない状態でした。
遅番が就寝ケアを終えた頃から業務が始まります。主に安否確認とナースコール対応、トイレ介助やオムツ交換、体位変換などを行っていきます。当然、認知症を患う方はいつ起きてくるかわからないので巡回はまめに行なわないといけません。
深夜0時を回った頃、雨が激しく降り始め、雷も鳴りだしました。一緒に夜勤に入っていた彼女は懐中電灯を持って巡回している最中でしたが…
きゃ~!何か音がする!
と、悲鳴…
同時に
バン!バン!バン!
激しく窓を叩くような音が。
真ん中の広場で聞こえる…
バン!バン!バン!助けて下さい~!
?
中庭を見ると…
ひっ!
野村さん!
そこにはびしょ濡れになった野村さんが掃き出し窓を叩いている姿が!
(雷と雨でホラーだわ💦)
大急ぎで中に入れ、タオルで拭き着替えさせました。幸い下着まではあまり濡れてなかったので早い段階で発見に至ったようです。
野村さんの部屋は中庭に面していて、青空トイレ(外で排尿)をしようと中庭に出て、入り口がわからなくなってあちこち叩いていたのでしょう。
部屋に戻してベッドに入るのを見届けて退室しました。
午前3時。もう1人の夜勤の彼女は仮眠中です。
さ、巡回に行くか…と廊下に出ると…
スー…
リクライニング車椅子がひとりでに動いてる!
マジか!
恐る恐る近づくと…
コケコッコ~!朝ですよ~!
と言いながら野村さんがリクライニング車椅子の真横について動かしていました。
の~む~ら~さ~ん( ̄▽ ̄;)
朝だから起こそうと思って…
(お~い💧)あ…ありがとうね。でもまだ暗いからもう少し後にしましょうね。
はぁ…そうですか…
また野村さんを居室に誘導し、巡回へ…。
その後、野村さんはようやく落ち着いて眠りについたのでした。
この話は今でも仲間で集まると話題になるので、忘れられません。
のちに、あまりにも外の木が枯れるのが早いので青空トイレは禁止となりました…
おしまい。