私の高校時代の話をするね。
ただ、もう昔の話だから記憶が曖昧なところや、私目線で書いてるから事実と違うところもあるかもしれないし、言い訳じみたところもあると思うんで、その辺は許してね。
Mさんは、優等生の部類だったと思う。
成績も上位だし、部活も熱心だし、行動もまじめだし。
ある日、テストの終わった休み時間、一番後の席にいた女の子が真っ青な顔で泣き出した。
しばらくしてからその子に話を聞いたところ、「Mさんがカンニングしてるのを見ちゃった」とのこと。
純情なその子は、優等生のMさんがそんなことしてるのショックだったのね。
なんとなくその場の全員が、「許せないよね」って雰囲気になった。
でも、私たちはそれを直接本人には言わなかった。
先生に言いつけることもしなかった。
陰で、「Mさんは許せないやつ」って話をヒソヒソ言ってたんだ。
そして、ここからが私の私たるところなんだけれど・・・
私はMさんの替え歌をつくってしまった。
当時流行っていた歌を、Mさんのカンニングを題材にした歌詞にして、みんなに読ませたのだ。
そして、それがちょっとウケたものだから調子にのってしまった。
アイドルソングにニューミュージック、何曲も替え歌にしたわよ。
ときにはMさんにわざと話しかけて、彼女との会話まで歌にしちゃったわよ。
ねー、それってMさんの不正が許せないって話じゃなくて、自分の作品を人に見てもらってウケることを喜んでたんだよね。
Mさんは、このことを知ってたのかどうか・・・今もわかんないよ。
ただ、知ってたらショックだったと思う。
自分が招いたこととはいえ、陰口言われてたわけだから。
その上、お調子者がお笑いのネタにしてたんだから。
私は後年、自分がすごくいやなやつだと思ったよ。
ただ、当時の私は、いじめという意識はなかったんだ。
自分のネタで人が笑うのがうれしかったんだ。
そして、不正を追求してるって自負もあったし(その辺が浅はかよね)
もしあの時、Mさんが自殺なんてしちゃったら、私は一生トラウマを背負うことになったよね。
当然、今のこういう私はいないよね。
言い訳になっちゃうけど、こんないじめっ子もいるんです。
どうか、残される人のことを考えてください。
たとえそれがいじめっ子だったとしても。
改悛の機会を与えてやってください。
お願いだから、死なないでください。