マトン太郎探検隊 | 成羊記文

成羊記文

斉藤ネヲンサインMC
マトン太郎
の、活動記録やライブ情報の発信用……のハズが、実態は
・ゲームの吟味
・遊び歩きの記録
・単なる日記
等々、話題のとっ散らかったナニカ。

私は焦っていた。


30にして立つというが、自立と呼ぶにはあまりにも不安定な境遇のまま40代に突入した。


40にして惑わずというが、惑いっぱなしのまま間もなく40代半ばと言える歳を迎える。


己の人生で何かを成したのであろうか?

いやせめて……何か成す為の道筋程度は立てることは出来たであろうか?

……残念ながらどちらもNOである。



もう人生の季節で言えば秋である。

春に蒔き、夏に育んだものが、いよいよ実り、喜びと共に収穫し、冬に備えるのである……蒔いて育んだのであれば。


己はまさにキリギリス……酒に微睡み、夜を遊んだ記憶しかない。




このまま、何もこの世に残さぬまま消えていくのであろうか?

そんな絶望感が疑似的な命の危機を意識せたのか、幼き日からの記憶が走馬灯の様に蘇る。


そしてふと思い出す……子供の頃、ドラえもん好きだったなぁと。

オマケに結構詳しかったよなぁ……ドラえもんクイズは初見ノー勉で博士号級だったよなぁ。


もしや……これは天啓?



……そうだ、ジャイアンだ!

体型が似ているし、歌が下手なのも同じ。


ジャイアンの功績と言えば

ツチノコの発見である。


ならば話は早い。

見つけよう、ツチノコを。




ということで、何人かのスタッフを手配し『マトン太郎探検隊』を結成!

「ツチノコが出る!」

との噂のある某地へと飛んだ。

そこにも人の営みがあり、当然その土地には権利者がいる。

彼らの日常を守る為、具体的な場所を明かせないこと御容赦願いたい。



先ずは体力の消耗を避ける為、整備された山道を進む。

この辺りまではまだまだ人間……と言うか文明の気配があった。


そしていよいよ山深くなってくる。

かつてこの石段を築いたのは修行僧か?

はたまた平家の落人か?



更に山奥へと進むと

文明の痕跡は途絶え、自然の中で命を育む水辺へと辿り着く。


清流の音に癒やされつつ、更に奥へ進む。

苔に足を滑らせ、負傷する者が続出した。


この時期、山の気温と水はまだまだ冷たく、我々から容赦無く体温と体力を奪っていく。

流れの強い所もあり、大自然の中では一瞬の油断が命取りになるのだ……と、改めて気を引き締める。


そして……

荘厳とも言える雰囲気の漂う地点へと至る。


……いる、この洞穴にいる。

探検隊の誰もがそう感じた。


しかし、長きに渡り人の目から逃れ続けてきた生き物である。

視覚、聴覚、嗅覚……いずれか、もしくは全てが鋭敏であろうことは想像に難くない。


また、第六感的な感覚……捕獲したいという気持ちを悪意と言うのなら、それにも敏感であるかも知れない。

明鏡止水……ツチノコと出会う為に必要なのは技術ではない、心である。

そんな確信があった。



しばらくの時を心の調整に用いた後、洞穴へ入ろうとして、ふと横を見ると……

これは……⁉︎

目撃証言を元に作成された資料と比較しても間違いない!

ツチノコだ!


興奮の余り少し心が乱れた。

ツチノコはその気配を敏感に察知し、こちらを見つめてくる。

その眼差しには警戒があるように思えてくる。


再び心を平静に、明鏡止水へと整え、ゆっくりと手を伸ばす。

捕らえた!


……が、そこで油断してしまった。

嬉しさの余り

気が緩んだ。

ツチノコはその一瞬のスキを突いた。

信じられない速さで私の手を流れ、森の奥深くへと消えていったのである。



こうして今回のミッションにおける捕獲は失敗に終わった。

しかし、その実在は確認出来た。


我々はリベンジする。

その為にも……バイトを増やして資金調達に勤しむことにする。