『マラガは生活する所、生き延びるところではない』

昨日の話題ですがスペインの観光地マラガにおいてついに堪忍袋の尾がキレた住民達が大掛かりなデモを行いました。

日本でも昨今話題になっている問題なのでこれからまだ増え続けるであろう外国人観光客に対する日本の地方自治体毎の今後の対応の役に立てばと思い書いてみます。

スペインは随分前から世界の観光地として世界中から沢山の人が訪れています。

その点から言えば観光先進国と言えるかもしれませんが普通先進国というイメージの中にはその分野におけるノウハウの蓄積があり後からその分野の産業が育ってきた他の地域の模範になったりしますが事観光産業においてはそうではない事もたくさん存在します。

何故ならばこの業種はその地域全体の全てに影響を及ぼすためこの業種に携わらない人達には迷惑が及ぶ事が多々あります。

例えば地域の公共交通機関の地元民の利用が不便になったり、混雑、公共マナーの違いにより清掃が不十分になったり他にも色々地元民が生活する上でのネガティブ現象が起きます。

残念な事に業界人にとっては客の利便性は追求しますがそれにより地元民が被る不利益の対応は最後になります。

これはこの業界だけに限らず大手企業が地方に施設などを作る場合も国で決められた最低限のノルマを果たすのみでその為に、何か事故が起きた場合は思いも寄らない大災害になったり、取り返しがつかない事になったりします。

そんな事の一つが今回マラガで問題になっている民泊です。

日本ではここ何年か前からの円安でそのせいもあってか多くの外国人観光客が日本を訪れていますが宿泊料も安く感じられるせいか殆どが旅館、ホテルを利用します。

それに引き換えスペインでは市内の便利な所では古い建物が多くなかなかホテルが建てられない事もありいつも宿不足に悩まされています。

それらの客を逃さない為の究極の策として地方自治体は民泊の許可を出しましたがそれによる住民への、特に下層階級の市民へ負のインパクトを甘くみたようです。

そのお陰で沢山の民泊が下町に誕生しました。

また、ヨーロッパからのリピーターの多いスペインに来る客は日本まで来る客と違い沢山ある格安航空券で旅行するのが殆どで値段にもシビアであまりお金を使いません。

そんな訳で民泊が下町に沢山出来ましたがその理由はもちろん不動産価格が安いことと短期滞在の観光客にとっては利便性がありその地域の雰囲気を味わうには下町の方が人気がある為コストパフォーマンスに優れています。

また改造費も『ザ・スペイン』のイメージを出せば良いのでお金はあまりかかりません。

そんな事で観光地域の下町の安い賃貸はなくなり多くの低賃金層が下町を追い出される事になると同時に住宅街の民泊に若者の観光客が訪れレストランなどはあまり利用せず安い地元のバル、スーパーで購入した食材と酒で宅飲みパーティを毎晩開き、50年来住み続けている低所得の老人夫婦などが不眠症になったり、県庁所在地の大学に通いたい田舎出身の学生のアパートが無くなったりと今まで貧しいながらも何となく充実した生活を送っていた庶民達が突然外来のバッタの大群に襲われたような気分です。

長い間賃貸アパートで住んでいた人は突然の何倍もの値上げで追い出され、自分のアパートに住んでいた人も隣が突然民泊になり騒がしくても移住する資金もなく我慢する他ないという状態です。

これがマラガにおけるオーバーツーリズムの現実です。

日本も最近オーバーツーリズム問題が各地で起きていますがまだ時間的に間に合うのではないかと思いこれを書いています。