良く歳を取ると子供時代に食べた食べ物が懐かしくなると言いますが私自身もその例に漏れず日本に帰国する度に子供時代の懐かしい食べ物を探しては楽しんでいますが子供時代と比べ自分の味覚の嗜好が変わったのか思っていたよりも美味しくないものもありますが昔から思っていた通りの味に遭遇すると感激します。

スペインに来た当初は子供時代の味と言うよりは日本の味が懐かしくその当時でも既にスペインにあった醤油が我々日本人にとってはキッチンの必需品でした。

あれから50年近く経った今では値段は高いですがほぼ何でも日本風味が堪能出来ます。

ただ日本料理の店もたくさんオープンしましたがどこも値段だけは一流ですがほとんどの場合は日本の庶民的なB級グルメの店の足元にも及びません。

またラーメン屋さんもたくさんオープンしましたが、日本のインスタントのラ王、まるちゃんを超えるラーメンに遭遇した事はありません。

そんな事もあり、この頃は日本食が恋しくなったら少々面倒ですができる限り自分で作ります。

特に魚料理においては下拵えが良くないため硬い小骨があったり生臭かったりと美味しくありません。

特に孫の好物のひめじの天ぷら、フライなどは面倒でも自分で三枚におろし、小骨も抜きます。

その他今ではこちらでも色々なタイプの調味料があるので家庭で簡単に日本の味が楽しめるので非常に便利です。

自分であまり調理をしない日本人の人達は日本に行くと外食しまくっているようですがよほどの料亭にでもいかない限り味がパターン化(味が濃い)して飽きが来ます。

やはり家庭料理が自分には一番合うような気がします。

そんな私も人生の3分の2以上をこちらで過ごしていると子供の時に食べた物だけではなくもう少し期間を長くして子供時代から若いときにかけて食べた食べ物が懐かしくなります。

そこに入って来るのが腸詰め食品です。

こちらの企業に勤めていたときほぼ毎日日替わりでおやつの時間に食べるフランスパンに挟む超詰め食品を数年間にわたり1日一回は食べていました。

そんな事もあり時々女房の親達の元実家の村、に行ったりすると今でも昔ながらの手作りの腸詰が食べられます。

楽しみの少なかった村では祭りごとに村の広場で豚を調理するのが慣わしで我が家にもそれらの村から調達してきたアルミの大鍋があり今ではスイレン鉢として使用しています。

そんな事でスペインの腸詰食品の9割は豚です。

豚の脚部分で作る生ハムを筆頭にその他色々の部位ごとの加工法がありそれらの全ての部位が何らかの腸詰に使用されています。

また、地方ごとにその部位の加工法も違ったりするので数えきれないほどの商品があります。

最近女房が田舎から調達してきた腸詰が無くなったのですが同じ味のものがどこに行っても手に入りません。

わざわざその腸詰のために片道300km以上の距離を往復する気もないので近場でスーパーを回りましたがスーパーには基本大手の工場で生産したものしかないのでこの頃はウオーキングも兼ねて個人営業風の専門店を回っています。

ただ流石に肉食の国スペインなので腸詰専門店(腸詰、チーズなどが主体)だけでも各ビルのブロック毎にあるので少しず色々購入しては試しています。

そのうちの一軒で久しぶりに美味しい生ハムに出会いました。

生ハムメーカーも星の数ほどあり、熟成時の色々な条件で厳密にいうと生ハムも一本一本味が違います。

昔、スペインのミシェラン調理師のフェラン・アドリアンの通訳をした時、そこで最高級の生ハムを食べながら話を聞いていたらこのハムも美味しいけれど本当に最高に美味しいと感じたハムは人生に2回しか無かったと言いましたが彼のようにスペイン調理界の頂点に立つ人でも今までの人生で2回しか美味しいハムに出会わなかったという話を聞いてこれでは私しが超美味しい生ハムに出会う確率は限りなく0に近いと諦めました。

と同時に私の舌がB級グルメで良かったと思っています。

もし庶民の私の舌だけが繊細でA級グルメであった場合毎日の食事がストレスの源になってしまいます。

さて、そんな事で毎日ちょこちょこ買ってくる腸詰をおやつ代わりに食べるのが最近の日課になっています。

そこで気がついたのがやはり一緒に食べるパンが美味しくないと腸詰の味も半減します。

サラリーマン時代同僚達と一緒に買いに行ったパン屋は薪窯で焼くパンでその焼きたてを購入していたのを思い出しました。

会社勤務中の唯一の楽しみは食であるといういかにもスペインという感じで今でも懐かしく思い出します。

我が家の近くにも専門店がありますが女房はそこの生イーストで焼き上げるパンを買いますがイースト菌の酸っぱさが苦手なので私は近場の普通のパン屋で買いますが焼いてからの劣化がすざましく翌日にはもうパン粉にするしかありません。

それでも焼きたては美味しいので近々生イースト使用のパン職人仕込み、酸っぱくないマキ釜焼きのパン屋を探さないと行けないのかなと思っています。

最近は価格競争が激しく本物嗜好の客が減りパン業界も大変な時代に突入しています。

という事で今日はこれを書き始める前に買いたてのフランスパンを今日の食欲に合わせ切り取りそれを半分にしてそこに半乾燥トマトを半分に切りそれを擦り付けそこにオリーブオイル、地中海産塩の華をふりかけテカ(パンに詰める内容物の総称)の薄切りイベリコ豚チョリソを挟み込みます。

これが今日の私のチョリソサンドです。