この写真はバレアレス諸島のマジョルカ島の飛行場の滑走路の写真です。

ご覧の様に作業員の膝上まで届く水に滑走路が浸水しています。

カタルーニャ州及びバレアレス諸島(フォルメンテーラ、マジョルカ、メノルカ、イビサ島で構成される)はここ何日か天候不順が続きましたがその中でも昨日は特別でこの地中海沿岸部、および地中海の島々では一時的に集中豪雨に見舞われその中でもマジョルカ島は24時間で1平方メートルあたり119リットルを記録したそうです。

普段から雨が少なく乾燥気味の地中海エリアは突然雨が降ると、乾燥した岩肌混じりの土には水を吸収する時間もキャパシティもなく凄い速さで高地から流れ始めますが普段から川という川もなくその川幅も狭いのでそこには収まり切らずに集落の中心にある舗装された道路が突然水路に早変わりします。

そんな時運悪く路上に置いてあった、バルの机、椅子、ゴミ箱、車など全てが海まで運ばれてしまいます。

マジョルカ島の飛行場も海の近くの低地に位置するので流石にゴミ箱、車などは敷地内に入り込みはしませんが水だけはお構いなく入り込みこの写真の様な状態になりました。

ただこの島のこれだけの雨量は数十年振りという事もありこの飛行場始まって以来の珍事です。

ただ街中の道沿いの住宅などには容赦なく水が流れ込み膝上浸水もスペインでは珍しい事ではありませんが電化製品などは全滅です。

毎年山火事のシーズンになると山林の下草刈りの不足が問題になり、今回の様な場合は乾燥気味の川の手入れがなされておらず枯れ木が川に詰まり道に水が溢れ出すパターンが問題になりますが、山火事で枯れ木は燃え尽き、洪水で川底が綺麗になるとしばらく問題は起きないので忘れ去られ次に何か起きるまでそのままで対策もなされませんがこの繰り返しです。

昨日はバルセロナも雨でしたがあまり強い降りでもなく前々日の雨がサハラ砂漠の赤い砂を運んできてテラスが汚れましたが今回は綺麗な雨だったので今朝はテラスも綺麗です。

今のシーズンは雨が降るたびに草花が大きくなったり芽を出したりと雨上がりの植物鑑賞はなかなかの楽しみです。

ただスペインの雨の振り方のパターンは局地的で短期間のものが多いのですが雹などもよく降り農家はなかなか大変です。

また、バルセロナ市内の下水道は非常に古くからあるので雨水と下水の合流方式です。

昔は集めた下水は下水道を通りそのまま地中海に放出していたので問題はありませんでしたがオリンピックを間近に控えた頃から近代都市を目指して下水はそのまま海に放出する方式を禁止にして全ての下水は処理場を通して規定水質に達した水を海岸から3キロ先までの鋼管を通してそこで放出する方式にしました。

なんでも3キロ先で放出すると処理水は海流に乗り沖に流れるそうです。

オリンピック時の遠泳競技場と処理施設が割と近い所にあり心配しましたがちなみにそんな報道はそんな報道は当時も今も一度もありませんでした。

ただこの当時まだ少し心配だったのが突然の豪雨です。

これにより下水のキャパシティを水が超える場合です。

バルセロナは地中海沿いに左右に長く広がりますが裏山から海岸までおよそ10kmの間に約100mの高低差があります。

これが問題で豪雨が降った場合この水が数分で市内の下水管に入り海沿いの処理場までの下水道が満杯になり、逆流した下水が海沿いの道路のマンホールを吹き飛ばし下水の噴水ショーがあちこちで起きると同時に海沿いのマンションの一階の便器から下水が噴出するという大変な事態が時々起きそれに緊急対処するために上流からの下水管に水流メーターを取り付け秒単位で水量を測り処理場のキャパシティを越える前に処理場へのバルブを閉め、直接海へ放流するように対処しました。

ただこれは簡易的な方法でほとんどは雨水であるとはいえ処理されない上流の下水も入っています。

その後この問題を解決する為と同時に道路の散水、並木の水やりを兼ねて市内各所の地下に大型の雨水貯水場を作り雨水の一部は下水管に流し込まずに直接貯水施設に貯める方式を取り、それ以降標高の低い地域での逆流、下水の海への直接投棄をゼロにしてやっと近代都市の仲間入りを果たしました。

元の部分を人間がコントロール出来ない自然災害、空気、水、二酸化炭素、温暖化など今のところ仮説による対処しか出来ないのが現状です。

今現実に起きている現象は理解出来ますがなぜそうなるのかはわからないという、ちょうど考古学の解明のようなもどかしさがあるのが自然界です。