赤色・社会党

水色・カタルーニャ独立右派

黄色・カタルーニャ独立左派

青色・右党

緑色・極右党

その他・3党

つい最近東京江東区での補欠選挙がありその投票率の低さに嘆きの声がありましたが実は昨日このカタルーニャ州でも選挙が行われました。

ここの場合今回は通常の選挙です。

そんな事もありここしばらくは毎日テレビでは選挙の話で持ちきりでしたがやっと選挙が終わったのでもう暫くくすると静かになると思われます。

ただ日本と違い選挙期間は選挙カーは無く、政党ごとがいろいろな場所を借り切ってミーティングを開いたり、人の集まる所に出向いたり報道機関での党の代表者たちの政見放送などです。

先日の江東区の選挙で投票率が4割という事で問題になっていたのでスペインの投票率はどのくらいなのだろうと気になっていました。

猫も杓子もサッカーの次に話をするのは政治談義なのでさぞかしスペインでは投票率が高いのかと思っていましたがなんと投票率は46%ということで案外少ないことに驚きました。

元々私は日本人なので投票権もなく投票権のある日本でさえも参加した事がないのであまり関心はありません。

元々政治に関心が薄いというよりも投票の意義は理解しますがその有効性に疑問を持っているからです。

また国民の総意が自分の求めるものと違う場合も想定されるのと、国民の総意すなわち善なのかも疑問です。

人間としての根元部分では総意は多分正しいのではないかと思われますが残りの半分以上は人それぞれです。

そうなると一票を行使して自分が満足できる可能性はほぼ宝くじくらいの確率でそのために投票するというよりはファンクラブの様な感覚ではないかと思われます。

そう考えると政治好きな国民が必ず投票に行くという訳ではなく案外みんな冷めているのではと思われます。

政治集会のニュースなどを見ると多くの人でごった返していますがこれは熱烈な政党ファン達が色々な場所で行われるミーティングの追っかけをしているためだと思われます。

さてそんな事で投票率の低さの説明は付きましたが因みに今までで一番投票率が高かったのが2017年です。

この時は投票率が78%と史上最高を記録しましたがその背景は独立運動絶頂期のためです。

何事も首都マドリード中心で物事が決められれるスペインの政治に対し、92年のオリンピックを境に急激に経済力をつけ始めたと同時に世界的にもその存在を知られるまでに成長したバルセロナを中心にしたカタルーニャ州はマドリードと対等の扱いを求めましたが其れらが拒否されることに不満が高まり、前から燻っていた独立運動に火が付き燃え始めました。

それまでただ一つしか無かった小さな勢力の独立党に加え、今まで中央政権と一緒に甘い汁を吸っていたカタルーニャ保守党が突然転向し独立思考になりました。

州政府与党が自治権の拡大路線を放棄して独立思考になったことで昔から一部の人の間で念願であった独立の可能性が高まり、そのためカタルーニャ人の独立を望む感情が極限に達しました。

我々部外者から見れば78年に民主的新憲法が制定されEUに加盟しているスペインの一部が一方的に独立を望んでも其れは不可能にしか見えませんが、ポピュリズムによる感情操作とその願望からくる期待感で普段からの知り合い達もワクワクしている気持ちが我々にも伝わってきました。

そんな雰囲気が蔓延し始めたカタルーニャ州では経済界で大きな変化が現れ始めました。

それが大手銀行、大手企業達の内でこの地方に本社機能を置いているところが次々と本社機能をマドリードを中心とした州外に移転させ始めました。

もしカタルーニャが一方的に独立宣言をしたらスペインはカタルーニャのEU加盟を許可しません。

そうなると本社をこのままここにとどめ置くことはヨーロッパ中央銀行などと手を切ることになり企業の死活問題になります。

そのため数百社が本社機能を州外に移し其れに腹を立てたその時の首長は罰金を課すとか、ヨーロッパ中の企業が将来性を見込んでたくさんやって来るとか散々叫んでいましたが、この騒動後本社機能もほとんど戻らず、外国企業もやってきていないのが現実です。

そのお陰で経済的に得をしたのが首都マドリードで追い付きつつあったカタルーニャ経済がまたマドリードに引き離されました。

其れから7年経ち、独立は時期尚早と考える独立党は中央政権の社会党と連立を組む予定を崩さず、右派独立党は絶対中央と連立を組まないことをスローガンに挙げ、前回の選挙で第3党まで落ち込みましたが今回は元々の独立党の弱腰に愛想を尽かした支持者が独立党右派を支持し2位に浮上させましたがこれでは首長には届きません。

そんな訳で順当に行けば中央政党の社会党が8年ぶりに首長を奪還するものと思われます。

独立運動の興奮が冷めてきて理性的に考え始めるとまだ独立には早すぎるという考え方をする人が増えてきて選挙に対す期待感が萎んでこの投票結果、投票率になったものと思われます。

そんなことを考えていると選挙でいかに投票率を上げるのか、またいかに自分に賛同させるのかというのは非常に複雑で本音を語るのか、夢を語るのか、選挙民に心地の良い話をするのかどのレベルで語るのかなど有りとあらゆる可能性があり、そのルックスまでも重要な条件になりますが私自身は何かこの選挙方式に代わりもっと納得できるようなシステムが出来ればいいなと思います。