今から20年以上前に今私の住んでいるビルの一、二階の一番奥にある部屋を借りました。

この一、二階にはこれ以外の居住空間は無く住民は日本でいうところの三階以上に住んでいます。

ではこの空間はなんのために存在するかというと管理人の為の部屋です。

昔はほとんどのビルには管理人が家族ごと住み清掃を始め全てのビルの雑用をこなしていましたがインターホンの進化により自動ドアに代わるとほとんどのビルから管理人が居なくなりました。

この空間は住民全員の持ち物でここに管理人を住ませ給料を払います。

年2回のボーナス、一ヶ月間のバカンスも支払いその間代理の掃除人も雇います。

これは結構な出費になるのでインターフォン付きのドアにして掃除は専門の会社に任せれば随分安くなり、その場所も人に貸せばその上がりが月々のビル管理経費の削減にもつながるので過半数が賛成してビルの9割ほどは管理人がいなくなりました。

残りの1割も通勤の管理人なので小部屋一部屋とカウンターで事足りますがその代わり勤務時間は8時間です。

そんな事でその空き部屋を借りたのが私です。

この空間の部分オーナーであり賃貸人でもあります。

実は此処を借りるきっかけとなったのはある日本人の知り合いがバルセロナで日本の本屋を始めましたが時代を先取りし過ぎたのと全ての書籍が買取のため大きな損失を出し店を閉める事になりましたがせめて帰国費用が出るように私が居抜きで全部買い取りました。

そこまでは良かったのですがこの一万冊を超える本をどこに置くのかは考えていませんでした。

それで何とか本を減らそうと思い知り合いの日本人に片っ端から声をかけ一週間にわたり好きな本を好きなだけ無料で持っていってもらいましたがそれでもまだたくさんの本が残りました。

私は昔から本が大好きなので捨てるという発想は思いつかないのとブックオフのような会社もなくましてや日本語の本などどこの古本屋も引きとってくれません。

そんな時我が家の下にあるビルの場所が空いたのですぐに借りることにしました。

この空間は一階に二部屋二階にも二部屋あり2階の内側が図書室、窓側が読書室、一階部分は陽が入らないので石鹸倉庫、オリーブ倉庫、石鹸製造の実験室として使いました。

そのほか自宅では許されない納豆製造にも使っています。

最初に始めた生ハムの日本での販売、オリーブオイル、塩などはのうち生ハムだけは日本だけに倉庫を置きましたがオリーブオイル、オリーブ石鹸、オリーブボディオイルなどは両方に倉庫を置いたので色々と役に立ちました。

退職と共に仕事を辞めたので今は細々と納豆を作るくらいです。

また倉庫の利用ボリュームが多くなったので本が邪魔になりある年全てまとめて業者を使い田舎の山の家に運び込みました。

多分田舎の家に住み毎日読書を続けても死ぬまでには読みきれないと思います。

現役時代は仕事に行く前に倉庫に寄り本を一冊持って出かけるのが日課になっていましたがそれでも年間三百冊を超えることは不可能です。

あれ以来ダンボールに詰めた本がどこに置かれているのかも確かめたことはありませんがいつかアラゴン地方の田舎で日本語に興味を持つ人が現れるかもしれませんがあちらでは邪魔にならないのでそのまま置いておきます。

さてそんな事で其れ以来広々と使っていましたが世界のあちこちで生活している末っ子が居住地を変えるたびに色々荷物を持ち込み段々荷物が増えて来ていて始め2階の二部屋を提供しましたが友人たちとも共有してユーチューブ配信などをする様になりじわじわ私の領域にも攻めてきて最終的には全て占領されました。

先日今年の分として購入したオリーブオイルが届いたのでそうこいオリーブオイルを置こうとして扉を開けましたが置き場所がないくらいに種種雑多なものがあり入り口近くに何とか場所を確保しましたが大変な状態でした。

その後二、三日して一度ドバイに帰りその後日本その後東南アジアにゆくという話をしていましたがそうなると数ヶ月は戻らないのでしばらく私の平穏な生活が取り戻せるのではと期待していますがもし次回来た時には母家を取られない防御策を立てないと一年の半分は趣味が満足に楽しみません。

今回日本に帰り幼なじみたちがまだ働いている姿を見て酒を飲みながらブログを書いているだけで満足するには物足りなく感じました。

約30年前にエクストラバージンオリーブオイルだけを原料にした石鹸を世界で初めて製造販売しました。

それ以来スペインではお土産品としてエキストラバージンと銘打った石鹸、化粧品がたくさん販売されています。

真似をされることはそれはそれで光栄ですができれば私の作品を超えろとは言いませんがせめて原材料に本物を使用してもらいたいものですがまだ本物には出逢っていません。

ただアイデアだけを利用して作られている紛い物です。

私が仕事を辞めたと同時に本物のエキストラバージンオリーブ石鹸は消滅しました。

ということで今回はもう少し前よりも進化したものを手作りで製作できないかと考えた次第です。

製品を商業ベースに載せるためにはある程度妥協が必要になりますが製造時間、原料の値段、製造過程などを短縮せずにこれが一番と思われる方法で手作りで、コストを度外視すればお面白い物ができる可能性があり、やりがいが見出せるのかなと思います。

ガーデニングが一段落したらもう一度私が昔制作した石鹸製造書を見直しながら製造コストを販売価格まで上げればどこまで良いものが出来るのかが楽しめる気がします。

精製されたピュアーオイルで石鹸を作るといつも同じ品質の石鹸がができますがエキストラバージンオイルを使うと毎回出来上がる石鹸の肌触り、泡立ち、色合い、成型時の色、匂いの変化などまるで生きているように全てが微妙に違います。

そんな事を考え始めると何かワクワクしてきます。

もしかしたら母家を取り返せたことで気持ちが昂っているのかも知れません。