その守護すべき義務をいくつかここでもって条件を挙げておられるでしょう。
まず第一に「今眼前にまします大聖人様は日本第一の法華経の行者である。すなわち、下種の法華経たる南無妙法蓮華経の行者である」と仰せられる。
という事は、八幡大菩薩を始めとして諸天善神はなぜ仏様を守るかというと、南無妙法蓮華経の大法を諸天善神もことごとく信じて自らも仏になるために恩徳を感ずるわけなんです。
今眼前に日本第一の三大秘法を持つ仏様がここにましますんです。日本第一の下種の法華経の行者がまします。
しかも、大聖人様は御身において世間の誤りは一分も犯した事はない。
ただ日本国の一切衆生が三大秘法を誹謗して無間地獄に堕つる事を不憫と思うからそれを助けるために強く申している法門ではないか。
また、もし大蒙古国がこの日本国を責めてくるならば、天照大神・八幡大菩薩といえども安穏におわす事ができるであろうか。
だから「なぜ守護しないのか」と仰せられる。
さらに、もっと大きな理由は仏前の誓いを果たさぬ事を責めておられるんですね。
その誓いというのは、諸天善神が釈迦仏が法華経を三千年前に説いた時に法華経の会座において「末法に下種の御本仏が出現せられたならば必ずお守りいたします」という事を誓っているんですよ。その事をここでお責めになるんですね。
いいですか、釈迦仏法華経を説き給いし時、多宝仏・十方の諸仏・菩薩が集まったそのキラキラした立派な様は太陽と太陽、月と月、星と星、鏡と鏡を並べたごとくに集まっている。
仏法が流れてくるインド・中国・日本等の仏法有縁の国々は前もって国土を守る善神が出現する。これらの善神も法華経の会座に集まっておった。
そのようなきらびやかな前でもって、無量の諸天並びにインド・中国・日本という仏法有縁の国の善神が「各々法華経の行者にをろかなるまじき由の誓状まいらせよ」「末法に必ず下種の御本仏が出現する。その時にこの御本仏に対しておろそかにしてはいけない。必ず守らなければいけない。汝等はその誓状をまいらせよ。今ここにおいて誓いの状を立てよ」との釈尊の仰せのごとく一々に誓状を立てたではないか。
「たとえ身が破れる事があろうとも末法の御本仏を必ず守護し奉る」という事の誓いの状を釈尊に出した。
そうであるならば、今大聖人様が事を改めて言うまでもない。急ぎ急ぎその誓いを今こそ成し遂げよ」という事でもって実行に移す事を仰せられた。
「それなのに、なぜこの大事を見てこの所に馳せ参じないのか」という事を強々と、はっきりと仰せられた。
そして最後に大聖人様は一段と声を上げられて仰せられた。
「日蓮今夜頸切られて霊山浄土にまいりてあらん時は、先ず天照大神・正八幡こそ起請を用いぬ神にて候いけれとさし切りて教主釈尊に申し上げ候わんずるぞ。痛しと思さば急ぎ急ぎ御計らいあるべし」
「もし今夜頸を切られて釈尊の所へ行った時には、まず『天照大神・八幡大菩薩は自らの誓いを破った神であった』という事をはっきりとその事を言い切る。その事が痛いと思ったならば急ぎ急ぎ守護を加えよ」
この事を仰せられてまた馬にお乗りになった。
どうですか、これは諸天善神に対して「どうか守って頂きたい」という嘆願じゃないでしょう。嘆願じゃ強すぎて相手は怒ってしまう。
これは嘆願の言葉ではない。まさしく、下種の御本仏として守護すべき義務を持つ諸天善神全体に対してその怠慢を強くお叱りになっておられるんですね。
「急ぎ急ぎ守護を加えよ」と御命令あそばしておられるわけであります。御本仏でなくしてどうしてこの事が言えましょうか。

