「日蓮大高声を放ちて申す。『あら面白や、平左衛門尉が物に狂うを見よ、とのばら、只今ぞ日本国の柱をたをす』とよばはりしかば、上下万人あわてゝ見へし。日蓮こそ御勘気をかぼればおくして見ゆべかりしに、さはなくしてこれはひがごとなりとやをもいけん、兵者どものいろこそへんじて見へしか」
大聖人様は兵士共のこの乱暴狼藉の姿をじーっと御覧になっておられて、しばしあって大音声をもって仰せられた。
「あら面白や、平左衛門尉が物に狂うを見よ、とのばら、只今ぞ日本国の柱をたをす」と仰せられた。
そして、この御書では省略されておりまするが、この後「日本国の柱を倒すゆえに必ず日本国に自界叛逆・他国侵逼あるべし」という事を強々と平左衛門に直接仰せられたわけであります。
これがすなわち『立正安国論』の諌暁に次ぐ第二の国諫ですね。
平左衛門は国家権力者そのものでありますから、国家権力に対して「大聖人様を流罪・死罪にするならば必ず自界叛逆・他国侵逼あるべし」という事の諌暁をこの時にあそばした。
まことに、大聖人様はこのように今召し捕られるという時に平左衛門に対してもこのように強々と諌暁し、お説法あそばすわけなんですね。
まことに、この大音声をもっての大師子吼に対し、捕えに来た平左衛門が真っ青になって立ちすくんじゃったんですよ。体が硬直しちゃったんです。
その姿を見て周りの兵士達がみんなあわてた。
なぜあわてたかというと、大聖人様のお姿があまりにも堂々と御立派なんですね。
そうでしょう。普通の逮捕と言ったら逮捕される者は皆顔を隠して警察に連行されるのが常でしょう。
私は『顔を隠すくらいなら悪い事をしなければいいのに』といつもそう思うんですが(笑)必ずみんな逮捕される時は真面目に顔を隠す。
だから、本来は逮捕されるならば必ずそういう格好をしなければいけないんです(爆笑)。
でここにもありましょう。「日蓮こそ御勘気をかぼればおくして見ゆべかりしに」との仰せのごとく、世間一般の常識から言えば大聖人様が国家権力から咎めを受けたんだから怖じ恐れておどおどして顔を隠すのが当たり前なのに「さはなくしてこれはひがごとなりとやをもいけん、兵者どものいろこそへんじて見へしか」と仰せのごとく、そうではなくて捕えに来た平左衛門をお叱りになったんでしょう。
すると兵士達は「どうなっているのか」と戸惑い(笑)「これはもしかしたらばこちらが間違っているのではないか」とあまりの大聖人様の堂々たるお姿、そして大将の平左衛門が真っ青になって棒のように立ちすくむ姿を見て『これはおかしいのではないか』と直感したんですね。
そこで、兵士達がみんなおかしな顔になってしまったというんです。
で中略の部分で大聖人様が諄々と、そして力強く烈々と平左衛門を相手に「大聖人様の仏法と念仏・真言・禅宗等の邪正はどこにあるのか」と諸宗の邪正を示し「良観房がなぜ讒言をしたか」というような事を諄々とお説法されるわけでありまするが、その事は略させて頂きます。
このように、仏様というのはいかなる時においても衆生に対するお説法をあそばすという事なのですね。
