「にちれんだいこうしょうはなちてもうす。『あらおもしろや、へいのさもんのじょうものくるうをよ、との殿ばらただいまほんこくはしらたをす』とばはりしかば、じょうばんにんあわてゝへし。にちれんこそかんかぼればおくしてゆべかりしに、さはなくしてこれはひがごとなりとやをもいけん、つわものどものいろこそへんじてへしか」

 だいしょうにんさまへい共のこのらんぼうろうぜきの姿をじーっと御覧になっておられて、しばしあってだいおんじょうをもっておおせられた。
 「あらおもしろや、へいのさもんのじょうものくるうをよ、との殿ばらただいまほんこくはしらたをす」おおせられた。
 そして、このしょでは省略されておりまするが、この後ほんこくの柱を倒すゆえに必ずほんこくかいほんぎゃくこくしんぴつあるべし」ということつよづよへいのもんに直接おおせられたわけであります。
 これがすなわち『りっしょうあんこくろん』の諌暁に次ぐ第二の国諫ですね。
 へいのもんこっけんりょくしゃそのものでありますから、こっけんりょくに対してだいしょうにんさまざいざいにするならば必ずかいほんぎゃくこくしんぴつあるべし」ということの諌暁をこの時にあそばした。
 まことに、だいしょうにんさまはこのように今られるという時にへいのもんに対してもこのようにつよづよと諌暁し、おせっぽうあそばすわけなんですね。
 まことに、このだいおんじょうをもってのだいに対し、捕えに来たへいのもんが真っ青になって立ちすくんじゃったんですよ。体がこうちょくしちゃったんです。
 その姿を見て周りのへいたちがみんなあわてた。
 なぜあわてたかというと、だいしょうにんさまのお姿があまりにも堂々と御立派なんですね。
 そうでしょう。普通のたいったらたいされる者は皆顔を隠してけいさつに連行されるのがつねでしょう。
 私は『顔を隠すくらいなら悪いことをしなければいいのに』といつもそうおもうんですが(笑)必ずみんなたいされる時は真面目に顔を隠す。
 だから、本来はたいされるならば必ずそういう格好をしなければいけないんです(爆笑)。
 でここにもありましょう。にちれんこそかんかぼればおくしてゆべかりしに」とのおおせのごとく、世間一般の常識からえばだいしょうにんさまこっけんりょくからとがめを受けたんだから怖じ恐れておどおどして顔を隠すのが当たり前なのに「さはなくしてこれはひがごとなりとやをもいけん、つわものどものいろこそへんじてへしか」おおせのごとく、そうではなくて捕えに来たへいのもんをお叱りになったんでしょう。
 するとへいたちは「どうなっているのか」と戸惑い(笑)「これはもしかしたらばこちらがちがっているのではないか」とあまりのだいしょうにんさまの堂々たるお姿、そして大将のへいのもんが真っ青になって棒のように立ちすくむ姿を見て『これはおかしいのではないか』とちょっかんしたんですね。
 そこで、へいたちがみんなおかしな顔になってしまったというんです。
 で中略の部分でだいしょうにんさま諄々じゅんじゅんと、そして力強く烈々とへいのもんを相手に「だいしょうにんさまぶっぽうねんぶつ・真言・禅宗等の邪正はどこにあるのか」と諸宗の邪正を示し「りょうかんぼうがなぜざんげんをしたか」というようなこと諄々じゅんじゅんとおせっぽうされるわけでありまするが、そのことは略させていただきます。
 このように、ほとけさまというのはいかなる時においてもしゅじょうに対するおせっぽうをあそばすということなのですね。