洞ヶ岳。木よりも左側の山峰、一番高いところが大天井岳。そこから右下の出っ張りが不行岳。さらに右下の木に近い出っ張りが地蔵ヶ岳。2011年9月24日撮影分。
洞ヶ岳(左側)。今回撮影分。別角度から。
大天井岳山頂から南の明神山を望む。晴れていても、瀬戸内海はなかなか見えない。
右が明神山、左が七種槍?。
セリ岩をくぐる。
今回は、まず最初に姫路市市長公室広報課が平成25年3月に発行した「グラフィックひめじ 姫路の山」にある文から紹介したいと思います。「注意 雪彦山登山は一般登山道でも崖や岩場があり、険しい登山ルートになっています。初心者だけでの登山は絶対にやめてください。また、登山の際は登山用の地図をご用意ください。」
登山については、ときに「引き返す勇気」も必要です。「せっかく足を運んだのだから、頂上まで行きたい。」と言う天候・体調・スキルを無視した過信が、滑落・遭難・無駄な捜索・救助活動へと繋がります。実は私は2011年9月に雪彦山に登ろうと思いましたが、自己の体力とスキルがこの山に達していないと判断し、登山口から頂上まで道程の、6分の1も行かない地点で引き返したことがあります。
雪彦山(せっぴこさん)は、 弥彦山(新潟県)、英彦山(福岡県・大分県)と共に日本三彦山として知られる修験道の地です。日本百景、ひょうごの森百選、兵庫50山、ふるさと兵庫100山、近畿100名山、関西100名山に選定されています。かつては、明神山とともに飾磨郡夢前町の山でしたが、合併により現在は姫路市の山となります。
また、雪彦山の南には以前登った明神山があり、
さて、まず「雪彦山」の定義が多義的であることについて、述べなければなりません。最初に、カーナビやインターネット、道路地図で表示されている「雪彦山」は、「三角点雪彦山」と呼ばれ標高915.2メートルの地点です。国土地理院発行の地形図上の雪彦山頂となります。見晴らしは、さほどよくありません。ところが、書籍やインターネット等の写真で見かける岩峰群は「洞ヶ岳(ほらがたけ)」と呼ばれる地点で、さらにその「洞ヶ岳」は、「大天井岳(おおてんじょうだけ)」、「不行岳(ゆかずだけ)」、「三峰岳(さんぽうだけ)」、「地蔵ヶ岳(じぞうがだけ)」の4つを総称したものです。そして、その内の「大天井岳」が「通称雪彦山」と呼ばれ標高811.1メートルの地点です。かつては標高884メートルとされた「大天井岳」ですが、現在は訂正されています。一般に「雪彦山に登って来た。」と言えば、「大天井岳」を登ったことを指す場合が多いと言うことになります。さらに「三角点雪彦山」よりも東に「鉾立山(ほこだてやま 標高950メートル)」があり、その「鉾立山」よりさらに北東の宍粟市と神河町の県境に「三辻山(みつじやま 標高961.5メートル)」があります。旧夢前町の定義では、この「洞ヶ岳」と「鉾立山」と「三辻山」を総称したものが、「雪彦山」とのことです。ところが、古くは「明神山(みょうじんさん 標高667.9メートル)」と「七種山(なぐさやま 標高683メートル)」と現在の「雪彦山」を総称して「雪彦山」と呼んでいたらしいです。さらには、元来「鉾立山」は現在の位置ではなく、賀野神社北西方向の中腹(標高662メートル)を指していたらしく、またWikipediaでは、「三角点雪彦山」=「三辻山」との記載がある上、未だに「洞ケ岳」を標高884メートルと記載しており、もう何が何だかわからなくなってきます。
今回は、「大天井岳」と「三角点雪彦山」に登ってきました。以前に上記「笠形山」について述べたリンク先で、「かつては神姫バスで瀬加行きがあり、市川町方面からの登山が可能だった。」と述べたことがあります。同様に、かつては神姫バスに雪彦山バス停が存在し、登山口目の前まで公共の交通機関で行くことができました。現在は、バス停終点が山之内となっており、登山口まで上り道で4キロあります。あるタクシー業者に電話をしてみたのですが、迎車料金を取られるとのことなので、ウォーミングアップがてら45分間で歩きました。明神山と違うところは、登山口からいきなり急登となるところですが、私にとっては山之内バス停から登山口までがなだらかな登り始めとなりました。そして、登山口の管理事務所に登山届を提出して出発。上記「明神山」について述べたリンク先で、「勾配もきついので、軍手でトラロープを掴みつつの登山」と述べましたが、雪彦山はさらに上級者向けの山で、開始早々軍手で木の根を掴み、木の枝を掴みの登山で、上に行くに連れて、岩も掴み、鎖も掴みと奮闘しました。山歩き初心者の私としては、今回が鎖場の初体験となりました。これほど上半身を使う登山は初めてで、三点確保(三点支持)の意味が少しだけわかりました。
出雲岩と呼ばれるところで、あまりの落書きの多さに興醒めしました。セリ岩と呼ばれるところは、くぐる行為が何だか儀礼的、宗教的で、ワクワクしました。自分より体の大きい人は大変だと思います。何度も休憩をはさみ、無事、「大天井岳」まで辿り着き、昼食を取りました。山頂からは瀬戸内海が見えるとのことでしたが、本日は雲ひとつない快晴にもかかわらず、あれが海かな?程度にしか霞んで見えませんでした。明神山の真北にある山と言うことで、岩や植物の種類、右回りで頂上まで行く点や、山頂の風景など、明神山と似ている点が多くありましたが、一度あきらめた山だっただけに、達成感はひとしおでした。
「大天井岳」から「三角点雪彦山」までの道のりは、さほど急勾配とは感じませんでしたが、新下山道と呼ばれる道がなかなか急で、疲労した脚部にこたえました。一度雪彦森林基幹道の方に出ましたが、もう一度山道に戻り、虹ヶ滝を通って登山口まで下山しました。
雪彦山は、素人を寄せつけない威厳を保った名山でした。
私は、日帰りかつ単独行で山歩きをしていますので、この雪彦山や播磨アルプスよりも高いレベルの山に登りたいとは思っていません。兵庫県内には、素晴らしい低山も多いので、山の高さや、難易度にこだわる必要もないと思っています。今度は、鹿ヶ壺方面から、千畳平を抜けて、「鉾立山」に行ってみたいものです。
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※関連リンク先
「山歩き まとめ(改)」
https://ameblo.jp/musyaavesta/entry-12624377490.html