「箱根駅伝」について連投となるが、今度はこの5年間の

タイムの変遷に注目したい。 

 

2021年大会、3位の東洋大は11時間00分。

青山学院(4位)が11時間01分、國學院大(9位)が

11時間04分、中央大(12位)が11時間07分であった。

 

それから5年を経た今年(2026年)、結果はどう変わったか。 

東洋大は10時間56分(4分短縮)に留まったが、

他校の伸びは驚異的だ。

 

青山学院は10時間37分(24分短縮)、國學院大は10時間40分

(24分短縮)、中央大は10時間44分(23分短縮)。

ここに、現代駅伝の勝敗を分ける要因が隠されているように思える。

 

いかに高速ランナーをスカウティングするか、そして最新の

栄養学、科学的トレーニングをどう取り入れるか。

今回は実力を出し切れなかった側面もあるだろうが、

各校の「進化の速度」に明らかな差が出ている。

 

また、大学側にとって箱根駅伝は入試前の最大級の

プロモーションだ。

 

先頭を走れば、往復10時間以上にわたって無料で全国にPRできる。

かつて「柏原フィーバー」に沸いた時、東洋大は、受験者数が

数万人規模で膨れ上がり、莫大な「箱根特需」を生んだとも言われている。

 

少子化になり、もはや「箱根」は単なる競技ではなく、大学の広告塔。

各校が必死になるのも頷ける。

名門・東洋大は、この高速化の波に乗り、再び王座へ

返り咲くことができるだろうか。

 

予選会から本選への切符を掴むのは、決して容易ではない。

そこには、数少ない枠を争う膨大な数の大学群がひしめき合っているからだ。

 

もし来年、予選を通過できずにお正月のメインステージから

姿を消せば、受験生(特に地方層)の意識から東洋大の存在は

遠ざかってしまうだろう。

 

それ以上に深刻なのは、ランナーたちの本音だ。

「箱根に出られない大学には行かない」――それが現代の厳然たる

事実である。

 

1秒を惜しんで練習に励むエリート高校生ランナーは、「名門復活」

という不確実な挑戦よりも、確実に頂点を狙える青山学院、

駒澤、國學院といった強豪校を選ぶに違いない。

一度途切れたスカウティングの糸を繋ぎ直すには、戦力回復に

10年単位の時間を要する可能性すらある。

 

仮に予選を通過できたとしても、さらなる試練が待っている。

本選でシード権を奪還するには、短期間で予選と本選の2度、

ピークを持ってこなければならない。

 

この過密スケジュールは選手にとって肉体的・精神的に極めて

過酷であり、名門復活への道のりは想像以上に険しいものになるだろう。