美食の街銀座。
一流の店が軒を連ねているが、とんかつだけはいい店が少ない。
そこそこの店は数多くあるんだけど、とんかつの聖地上野や浅草、新宿に比べるとかなり見劣りがする。
とんかつの前身ポークカツレツが誕生したのは銀座(煉瓦亭)だけに残念なことだ。
その銀座で最も人気を集めているのがこのお店。
東銀座歌舞伎座裏の「にし邑」さん。
オープン直後の訪問だったが4人目。
カウンターだけの店内の端から座っていく。
席の間隔が狭いのでストレスを感じるし、実際隣の客と腕が触れそうな距離。
この数分後にはカウンター席はすべて埋まり、ウエイティングの列が伸びていく。
一応「並」と「上」があるが、ほとんどというかほぼ全員が「上」を注文する。
同じとんかつでも全く違うものと言っていいほど大きな差があるのだ。
ロースとヒレがあって9割以上の客はロースカツ。
柔らかさではヒレカツだろうが、とんかつの魅力はロースかつでしか味わえない。
お茶を飲みながら厨房を眺める。
店主の揚げるかつに合わせてごはんやお椀を盛り付ける女将。
他の店員さんとも見事な連携で、目配り、気配りが行き届き、どんなに混んでも落ち着いて笑顔溢れる接客をしてくれる。
●上ロースかつ膳(1,400円)
200gのロースかつは圧倒的なボリューム。
お皿からはみ出しそう・・・というより豪快にはみ出している(笑)
それではいただきます
酒粕が入っている豚汁。
酒粕は入れすぎたら粕汁になるが、隠し味程度なので風味も増して美味しい。
漬物は悪くはないんだけど、つぼ漬けより浅漬け系が合いそう。
最初の1切れは何も浸けずにそのままガブリ!
細かくもなく粗くもない中庸な粗さのパン粉は低温揚げによってサクッとした食感。
油はラードっぽくはなかったので植物油か植物油のブレンドだろう。
油切れもいい。
卓上のソースや調味料を使って1切れずつ楽しもう。
一番端の油の多い部分は岩塩で食す。
かつを揚げるのにプロと素人との差が出るのがここ。
赤身と脂身は火が通る時間が異なるので難しい。
家庭で美味いとんかつを作れないのはこの部分の技術の差なんだ。
キャべツにはドレッシングやマヨネーズもあるけど私の好みはウスターソース。
シャキシャキの新鮮キャベツで切り方も完璧。
それにしてもすごい量だな(笑)
続いてとんかつもウスターソース。
練りからしをちょいと乗せてガブリ。
サクッ、ジュワッの食感がすごいし、赤身の部分の肉の旨さも十分。
肉は熟成させてあるらしく、柔らかいながらも適度な歯ごたえがある。
続いてはとんかつソース。
ウスターソースもとんかつソースも甘さは控えめでスッキリした辛口。
ふっくらと炊き上がったごはんも文句なし。
ごはんはどんどんすすむクンなのだが・・・
「ごはんのお代わりはいかがですか?」
冗談はよしこサン。
もうすでにお腹はパンパン。
トンカツとごはんは完食したがキャベツは2/3以上は残してギブアップ。
2千円以下ではなかなか美味いとんかつには出会えないものだが、この値段で食べられるとんかつとしては都内でもトップクラスのクオリティではないだろうか。
美味しい食事に感謝をこめて
「ごちそうさま!」
【お店】
・にし邑
・東京都中央区銀座3-12-6