Music Train〜汽車の巫女編 Vol.3


どこまでも続く青い空。この空のどこかに、私たちの求める答えはあるのだろうか。

眩しい太陽の恵みは汽車を屈折し、虹色に辺りを照らしていた。

多くの家族連れで賑わう中、私は心を他所に、子ども達を眺めながら、その無限の未来に思いを馳せた。


テーマパークの一角に取り分け子ども達の群れる集団があった。

控えに立ち上る煙と、仄かに香る甘い匂いに誘われた。


「こ、これはっ!!」

「あ、車掌ーー。見てください。これとても美味しいんですよーー♪」

「甘い香りと、煙の正体はこれかー。」


焚き火を活用して、焼かれているのは


「そうです。マシュマロです。焼きマシュマロなんです!!車掌もおひとつどうぞ♪」

「お!ありがとう。うむ。何と、口の中で優しい甘みがトロけて広がるじゃないか。うまいよ。」


それにしてもみんなで随分と平らげたもんだね。すごい串の山だ。」

群がっていた子ども達が一斉に串山から顔を背けた。うちのひとりが口を開いた。

「べ、別に、お姉ちゃんがご馳走してくれることを内緒にする約束なんか、してないんだからね!」

「あ!あ!ちょっと、キミー!あ。えへへへ。」


「うん。うん。たくさんの子ども達に喜んでもらえて何よりだ。良かった良かった。ところで、この後、汽車の巫女さんとは経費の使い方について、今一度話し合っておこうか。」

「あ、あははは。宜しくお願いします。あははは。」

「ふふふ、ふふふふふ。」

不敵な笑い声が響き渡ったのだった。


夕暮れ。森のテーマパークに、ひとりふたつと灯りが灯り始めた。立ち並ぶレトロな電灯は、賑やかだったテーマパークの顔をムーディーに彩った。

一際中央広場は明るく照らされ、人が集まっていく様子が伺えた。


「おや?今から何か始まるのかな。」


ギターのリズムカルなカッティングから始まり、人々の歓声と拍手とともに、広場は舞台に早変わり。ライブで一色となった。

私の横で、汽車の巫女が音楽に合わせて、手拍子しながら呟いた。

「音楽っていいですね。みんなでひとつの音楽を囲んで、今日の嬉しいも悲しいも、全部スクランブルして、楽しいになるんです。」

「その楽しいが原動力になって、明日を切り開いていく力になればいいね。」

「はい。前進あるのみです。」


舞い上がった光の粒子は、テーマパークの灯と夕闇の間を音楽に合わせて踊っているように輝いた。幻想的な風景を眺めながら、この光がまた次のステージへと私たちを導いてくれるのだろう。不確かな未来へと想いを乗せて。


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