【新譜楽譜-アンサンブル譜】ブレーン社より 打楽器アンサンブル(ジェリー・グラステイル3作品) | Musicstore.JPのブログ

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本日は、10月3日発売開始となります、ジェリー・グラステイル作曲の打楽器アンサンブルの楽譜、3作品をご紹介いたします。

こちらの3作品、これまで株式会社スペースコーポレーションにて出版されていましたが、ブレーン株式会社にて出版することとなったそうです。

アンサンブルコンテストでも人気の作品です。ぜひご注目ください。

 

ディベルティメント ~3人の打楽器奏者のために~

グレード:4.5

演奏時間:5分

編成:打楽器三重奏

1st: Wood Block / 3 Toms / Bass Drum (foot) / Conga / Suspended Cymbal / Ride Cymbal / Hi-hat Cymbal / 3 Cymbals / Cowbell / Wind Chime / Maimba
2nd: Wood Block / Rog Drum (Temple Block) / Bongo / Suspended Cymbal / Tam-tam / Timbales / Marimba / Xylophone / Vibraphone
3rd: Wood Block / Timpani / Small Bass Drum / Marimba

 

本作品は、北海道北見市立北中学校の委嘱により2009年に作曲しました。当初「ELYSIUM(楽園)」というタイトルでしたが、もっと自由な発想をと「DIVERTIMENTO(嬉遊曲)」にあらためました。
初演した3人と出会ったのは、まだ彼らが小学校6年生のころ。はじめましてと聴かせてくれたのがジョリヴェのコンチェルト(独奏はもちろん、ピアノも2人で連弾!)。その時の鮮烈な思い出が、そのまま本作の礎となり、このマルチパーカッション独奏と鍵盤楽器(打楽器も含む)のアンサンブルというスタイルになりました。以下、初演時に書いたプログラムノートの一部を記します。
~曲は単調な木の鼓動が、少しずつ音程を発しはじめ、膜鳴楽器を中心とした独奏へと繋がります。この独奏が軸となり、リズムやメロディが形や色を変化させ「楽園」を旅してゆきます。ここでいう「楽園」とは、音楽や打楽器にあふれる世界。そんな理想郷へ誘ってくれる、希望に満ちた演奏を期待しています。

●演奏上の注意
Wood Block on Marimbaは、3rd PercussionのMarimbaに一同が集まり、それぞれMarimbaの音板と一緒に演奏しやすい場所(鍵盤上)にW.Blockを設置します(スタンドなどの使用も可)。その際、鍵盤を痛めたり、W.Blockがズレたりしないよう、厚手のすべり止めシートなどを活用ください。またリハーサルマーク[C]以降は、それらをMarimbaから外してください。 (ジェリー・グラステイル)

 

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ヴォルケーノ・タワー

グレード:4

演奏時間:5分

編成:打楽器七重奏

1st: Marimba
2nd: Timpani / Vibraphone / Xylophone
3rd: Maimba
4th: 4 Toms / Suspended Cymbal / Rain Stick
5th: Bamboo Chime / Bass Drum
6th: Small Maracas / Wind Chime / Sespended Cymbal / Floor Tom
7th: Tam-tam / 2 Rin / Timpani / Glockenspiel

 

この作品は、2007年に熊本県立盲学校アンサンブル部のために作曲しました。当時の部員たちと「ヴォルケーノ・タワー」という架空の物語を作り、それに沿って音楽を仕立ててゆきました。いい思い出です。発想力・空想力は、音楽に欠かせない大切な要素。再出版の際にも当時描いたストーリーの断片を楽譜上に残しましたが、ぜひみなさんだけの素敵な物語や情景を思い描きながら、自由に演奏してほしいと願っています。
あらためまして、ようこそ「ヴォルケーノ・タワー」へ。この冒険が、みなさんにとって素晴らしい旅となりますように。

●演奏上の注意
・ 2nd PercussionのXylo.は1オクターブ下げて演奏してもよい(音板の素材によっては、そちらの方が馴染む場合もあり)。
・ 5th PercussionのB.Dr.は(布などで)ミュートをかけ、リズムが際立つように。83小節目からはミュートを外して。
・ 7th Percussionの2 Rinは、フィンガーシンバル(2枚を吊るしマレットで打つ)もしくはアンティークシンバル(F&C音)でも可。
・ 7th Percussionの18小節目から指定されているスティックは、木製のティンパニマレットであればグリップエンドでも可。
・ 冒頭や終盤に出てくる打楽器セクションのad.lib.は、一定の持続音ではなく、草木や生物、風や水など、自然界のさまざまな音を模して

●編成について
この作品は7重奏ですが、6重奏で演奏することが出来ます。その際は5thと6thパートを組み合わせ、例えば、S.Cym.とB.Dr.が同時に出てきたらドラムセット用のB.Dr.を活用するなど、工夫しながら混成ください。もちろん全ての音符を再現することは難しく、ある程度の選択が必要ですが、原曲のニュアンスを失わなければ、創意工夫の範囲で、自由に演奏してください。 (ジェリー・グラステイル)

 

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紅蓮の斜陽 ~8人の打楽器奏者のために~

グレード:4.5

演奏時間:5分

編成:打楽器八重奏
1st: Marimba
2nd: Marimba
1st Percussion: Vibraphone / Xylophone / China Cymbal / 4 Temple Block
2nd Percussion: Supended Cymbal / Crotale / Wood Block / 2 Small Bass Drums / Mokusho
3rd Percussion: Suspended Cymbal / 3 Toms / Floor Tom / Tambourine / Cymbal / Glockenspiel / Rain Stick
4th Percussion: 3 Gongs (tone G-C#-D) / Bongo / Conga / 2 Cymbals / 2 Small Bass Drums / Maimba
5th Percussion:  Tam-tam / Chime / Hi-hat Cymbal / Wind Chime / Mokusho
6th Percussion: maracas / Bass Drum / Bass Drum (muted) / Timpani

 

タイトルの「紅蓮の斜陽」とは、鹿児島市城山町にある「大西郷永久にあり」の碑に記された大迫 亘の詩から引用したもの。

紅蓮の斜陽、城山に映はえ
濃紺の森、赤々と染まる
若人の雄姿これに寸分たり

西南戦争の史実を基に、この作品を書き上げた。
本作を書くにあたり参考とした、山口常光氏の著書「陸軍軍楽隊史~吹奏楽物語り~」には、西南戦争(1877年)最後の激戦である城山決戦について、以下のような状況が記されている。

「九月二十四日。この日の払暁を期して官軍の一斉総攻撃がはじまるという未明のことである。突如として、官軍の陣地から力強くも、また哀切をきわめた軍楽の響きが、風に流されて城山一帯を包んだ。(中略)これぞ德望一世を圧した大西郷にはなむける官軍心やりの袂別の演奏である。身じろぎもせず、腕を組み頭を垂れて聞き入る西郷とその親衛隊、そして征討軍の将兵たち。指揮をとる陸海軍楽隊長、吹奏する楽員―すべての者がそれぞれの感慨をもち、なかにはこみあげる涙を押さえかね、嗚えつするものもいたことであろう。」
山口常光『陸軍軍楽隊史 : 吹奏楽物語り』(三青社出版部、1973年)

上記はジョン・ウィリアム・フェントンが薩摩藩軍楽隊に、日本で初めて吹奏楽を指導するようになって、わずか8年後の話である。この話が事実であるとするならば、音楽家・演奏家にとって、言葉ではけっして語り尽くせぬ、悲劇の物語である。
この時、いったいどんな楽曲が演奏されたのか。いまとなっては不明だが、この内戦の意義、後の近代日本史を鑑みるに、もし演奏された曲が、新しい日本の夜明けを象徴するような「国歌」であったならば・・・という願いや想像を込め、楽曲の終盤に「フェントン作曲:初代・君が代(ナショナル・アンセム)」を引用している。
本作は、学校法人玉名白梅学園玉名女子高等学校と福井県立羽水高等学校の2009年度委嘱作品である。
本作を書くきっかけを与えてくれた、新潮社・森重良太氏に、この場をお借りして、深く感謝申し上げる。
また、作曲中に他界した鹿児島の友人、美座賢治氏にこの作品を献呈する。

●編成について
・ 3rd Percussionの3Gongsは、チャイニーズ・シンバル(※Perc.2と共用可)や銅鑼などでも代用可。また1枚の楽器を、打つ場所やマレットなど工夫し、音色を変えながら演奏してもよい。
・ 5th PercussionのB.Dr.の(muted)と記された所は、布などでミュートをし、セーム皮のバチなどを使い、原始的な「太鼓」のような音色で。
・ リハーサルマーク[E]から登場する2Small B.Dr.は、フロアトムやマーチング用のB.Dでも可。(両奏者)向かって右に高い音、左に低い音、共用のS.Cym.を挟んで対峙するようにセットする。場所はできる限り全体の中央にセッティングするのが望ましい。それぞれの最低音は(向き合った)相手の大太鼓を使用する。(この)S.Cymは、刀と刀がぶつかる音を模している。あまりサスティンが残らないよう、布などでmuteをかけても良い。

●演奏上の注意
・ ad.lib表記のある箇所は、ロールなどであっても、持続音として捉えなくてよい。例えば冒頭、2nd PercussionのS.Cymは、空気の微振動。不規則なノイズのように伸縮させて。4小節目の1st PercussionのW.Blockも、鳥の声、木霊のような音色で。もちろん、それら選択と演奏は自由である。鍵盤楽器のad.lib.も、音列と音域さえ合っていれば自由で良い。
・ リハーサルマーク[H]はリズム的、時間的な概念を持たず、辺りを漂うような感覚で。ナショナル・アンセム(国歌)は、どこからともなく聴こえてくるような響きで。 (ジェリー・グラステイル)

 

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