教員の引き出し

教員の引き出し

教員は、子どもの人生を大きく左右する重要な職業です。そこで、教員としてどんな引き出しを持っていればいいかについて、教員として知っておくべきこと・身につけておくべきことを本ブログで提供していきたいと考えています。

教員の引き出し 【目次】



I. 校種ごとに求められる専門性
 1.教科・領域ごとの専門性
  ① 小学校・中学校・高等学校
   A.国語
   B.社会
   C.算数(数学)
   D.理科
   E.生活
   F.音楽
   G.図画工作(美術)
   H.家庭(技術・家庭)
   I.体育(保健体育)
   J.外国語活動(英語)
   K.道徳


  ② 特別支援学校
   A.各教科
    ◎ 国語
    ◎ 算数(数学)
    ◎ 音楽
    ◎ 体育(保健体育)
   B.自立活動
   C.日常生活の指導
    ◎ 食事
    ◎ 排泄
    ◎ 衣服の着脱
   D.生活単元学習
   E.遊びの指導
   F.作業学習


 2.その他の教育における専門性
  ① 小学校・中学校・高等学校
   A.学級経営
   B.普通学校における特別支援教育
   C.情報教育
   D.食育
   E.キャリア教育


  ② 特別支援学校
   A.障害理解
    ◎ 視覚障害
    ◎ 聴覚障害
    ◎ 知的障害(ダウン症含む)
    ◎ 肢体不自由
    ◎ 病弱・身体虚弱
    ◎ 言語障害
    ◎ 情緒障害
    ◎ 発達障害
     ● 学習障害(LD)
     ● 注意欠陥多動性障害(ADHD)
     ● 広汎性発達障害(PDD)
    ◎ てんかん

   B.指導法
    ◎ 視覚障害
     ● 点字
    ◎ 聴覚障害
     ● 手話
    ◎ 知的障害
     ● PECS
     ● ムーブメント教育
     ● 応用行動分析(ABA)
     ● TEACCH
    ◎ 発達障害
     ● LD児への指導
     ● ADHD児への指導
     ● PDD児への指導



Ⅱ. 教育課題と対応策
 1.いじめ
 
 2.不登校

 3.高学年女子への接し方

 4.教員のメンタルヘルス

 5.保護者対応



Ⅲ. 授業研究 ~アクション・リサーチ~



Ⅳ. 授業技術

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知的障害とは、学習面や生活面において発達の遅れがあるものをいいます。


医学的には精神遅滞とも呼ばれます。以前は精神薄弱と呼ばれていたこともあり、「知恵遅れ」と呼ばれていたことさえありました。精神薄弱や知恵遅れという言葉が差別的なイメージを持たれやすいことから、2000年から知的障害という呼称に改められました。


知的障害(精神遅滞)を定義している、世界的な診断基準があります。アメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM―Ⅳ―TR)」では、知的障害を次のように定義しています。






A: 明らかに平均より低い全般的知的機能(IQ70以下

B: 以下の少なくとも2つの技能領域において適応機能の明らかな制限を伴っている。
   コミュニケーション、自己管理、家庭生活、社会的・対人的技能、地域社会資源の利用、自律性、発揮される学習能力、仕事、余暇、健康および安全

C: 発症年齢が18歳未満

知的障害の水準を反映する4段階の重症度を特定することができる。

軽度精神遅滞 : IQレベル 50~55からおよそ70

中等度精神遅滞: IQレベル 35~40から50~55

重度精神遅滞 : IQレベル 20~25から35~40

最重度精神遅滞: IQレベル 20~25以下

精神遅滞 重症度は特定不能: 精神遅滞が強く疑われるが、標準的検査で測定不能の場合(例:非常に重度、非協力的、幼児)






上記の知的障害の段階をよりわかりやすく説明すると、次のようになります。


● 軽度 : 本人・周囲とも障害にはっきりと気付かずに社会生活を営んでいて、障害の自認がない

● 中等度: 過半数の精神年齢は小学生低学年程度

● 重度 : 多動や嗜好の偏りなどの行為が、問題になっている。概ね精神年齢は4歳児程度しかない。

● 最重度: 寝たきりの場合も多い。しかし運動機能に問題がない場合、多動や嗜好の偏りなどの行為が問題になる場合がある。実際の精神年齢は1歳児程度






この知的障害を伴うもののうち、体細胞の21番目の染色体が1本多い21トリソミー)ことによって発症するものを「ダウン症候群(ダウン症)」と言います。
「聴覚障害」とは、簡単に言うと『聞こえない』『聞こえにくい』の障害のことを言います。


学校教育法施行令第22条3項に次の条文が載っています。


「聾者とは、両耳の聴力レベルがおおむね60dB以上のもののうち、補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のものをいう」


ここで、「60dB=通常の話声」とありますが、デシベルごとの音の大きさの程度の目安を示しておきたいと思います。


◎ 30dB …… ささやき声


◎ 40dB …… 静かな会話


◎ 60dB …… 普通の話声


◎ 80dB …… 大きな声の会話


◎ 100dB …… 耳元での叫び声


聴覚障害には、外字や中耳が障害されていて補聴器によって障害が軽減される伝音難聴と、聴覚障害が内耳や聴神経にまで及び補聴器による障害の軽減が期待されない感音難聴の2つがあります。感音難聴の場合、人工内耳というものを用いることによって障害の軽減が図られます。
「視覚障害」とは、簡単に言うと『見えない』『見えにくい』の障害のことを言います。


ただし、眼鏡やコンタクトレンズを装着することで見えにくさが解消される人は、視覚障害者とは言いません。


実際に、学校教育法施行令第22条3項に次の条文が載っています。


「盲者とは、両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度なもののうち、」拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は困難な程度のものをいう」


つまり、眼鏡やコンタクトレンズを装着しても視力が「0.3」未満であれば、視覚障害者とみなされます。


この視覚障害者は、さらに3つに区分されます。


まったく見えない状態(視力0)から視力0.02までを「盲(先天盲と後天盲がある)」、視力0.02~0.04を「準盲」、視力0.04~0.3を「弱視」と言います。前半を「盲児」、後半を「弱視児」と呼ぶこともあります。


上記では「視力」の障害をピックアップしましたが、視覚障害は視力障害のほかに「色覚障害」「視野障害」「光覚障害」もあります。


◎ 色覚障害 …… 色の区別が付かない障害を指す。色弱、部分色盲、全色盲がある。


◎ 視野障害 …… 見える範囲が狭まる障害を指す。視野狭窄(求心狭窄、夜盲など)、暗点(中心暗点など)、半盲がある。


◎ 光覚障害 …… 明るい場合もしくは暗い場合のいずれかにおいて見えにくさを感じる障害。暗順応障害(夜盲など)、明順応障害(昼盲など)がある。


視覚障害者は、障害の程度に応じて「特別支援学校(視覚障害部門)」「小・中学校の弱視特別支援学級」「通級指導教室(弱視)」で教育を受けます。