ようやく、飯田達郎さんのビーストを見ることができました。

とても、トラディショナルなビーストだと思います。保守本流というか、正統派というか。

声の高さ(音域)も、ぴったり。

ぼくの知っているビーストでした。


最初は、低めの声で、モリースやベルを威圧的に扱いますが、これが、ビーストの怖さをうまく表現しています。

そこが怖さのピークで、ベルの部屋からは、茶目っ気が入り始めますが、青年であることからはずれません。

好みの問題ですが、ビーストが子供っぽさを出すよりは、青年としての茶目っ気の方がしっくりきます。

達郎さんは、その辺の感覚(表現)がとてもうまいなぁと思います。

「よろしくおねがいします」も恥ずかしさでモゴモゴしているのがいいです。コッグスワースのリピートも良かったです。


愛せぬならばは圧巻ですね。

何が圧巻かといいますと、ビーストの感情が伝わってきますね。声量だけではないのです。これは、早水小夜子さんにも言えますね(後ほど書きます)。


愛なしには生きてゆけぬ


「愛」の歌い方(声)がとても良いです。


そして、ラストは、圧巻。


滅ぼせよ この身を〜


達郎さん、「よ」の後にブライスを入れて、後は、ノープレイスだったと思います。(たぶん)

これ、とてもとてもスゴイです。

他の方と違うと思います。


2幕は、恋するビーストで、なんとなく、カジモドを思い出してしまいました。「ぼくなんか、醜いし」と自分に自信のない、でも、恋している自分がいるというもどかしさがうまいですね。


ベルを図書館に連れて行く時、目隠しだけして、ベルを置いて1人で図書館に行きかけて、「連れて行くんです」とルミエールに言われて、慌てて戻る時も、オフマというには、大き過ぎるくらいの「そうだ、そうだ」と常にオフマで、何か言っている感じです。


ベルをモリースのところへ返した後の、愛せぬならば(リプライズ)は、涙で歌っていました。近くでないと涙は見えませんが、明らかに涙声でささやくような歌は、劇場中に伝わったと思います。


王子様に戻ってからは、にこやかな達郎さん。

ベルを引き立てらような(紳士的な)動作が好感度アップです。


ビーストは俳優さんによって、個性が出ますね。

好みの問題なのですが、涙を誘うのは、ダントツで達郎さんだと思いました。


歌のうまさという点では、早水小夜子さんのポットがすごく良い例だと思います。

声量があるのに、声量で押す歌ではないです。(早水さんは年齢の割にはまだまだ声量はあると思います)

また、楽譜通りにも歌いません。でも、一番、耳障りがよいのです。

メモリーもそうですけど、ワンテンポ、いや、半テンポ、遅らせ気味に歌うのです。(わかる人にはわかるはず)それが、実に上手いのです。

そして、そこに、思いっきり抑揚をつけますから、やさしい歌になります。だから、耳障りがとても良いのだと思います。

美女と野獣は、しんみりと歌いあげる感じで、雰囲気(ベルとビーストの恋)が最高潮になりますね。

さすが小夜子さんです。

声量たっぷりに歌うのは、それは、それで素晴らしいのですが、そのさらにもう一歩先を行っているのが、早水小夜子さんかもしれませんね。

こんなったら、もう一度、グリザベラを演じて、メモリーを歌ってほしいです。


平木萌子さんは、見るたびに、ベルらしくなっています。清純な、純粋な、上品なイメージですが、ベルって、好奇心旺盛で、いたずら好きな面があると思います。

その部分が、ちゃんと演じられてきていると思います。よりベルらしくなっていますね。


演じるのが上手いのは、金久烈さんですね。

演技力でしょうね、ガストンの力強さをうまく引き出しています。

見た目も筋肉モリモリ💪でいいのですが、セリフや歌で、強さを表せるのはすごいです。


ルフウの肥田晃哉さん、軽快ですね。

ガストンとキスしかけた時の反応が面白いです。


ちょっと長くなりますが、ついでに。


雲田隆弘さんのコッグスワースは、間の取り方がうまいですね。ちょっと頼りないリーダーなのですが、みんなの人気者です。

西の塔とか、自分で言ってしまった後のルミエールとのやりとりは絶妙です。


ルミエールの大木智貴さんは、相変わらず、歌、上手いなぁーと思いました。

大木さんのビーアワゲストは、とても明るくなるので見ていて楽しいです。(他の方も明るいですよ)

あと、大木さんもセリフがうまくなったと思います。笑いを取るところは、以前から上手いと思うのですが、困惑のところが、「あー、困ったなぁ」という様子がよく伝わってきます。


マダム・ブーシェの秋山知子さん、さすがの面白さですね。しかも、早水さんもそうですが、セリフがとても聞き取りやすいのです。

秋山さん、オペラ座行くのかな?行くと足りなくなるなぁ。


アンサンブルでは、久しぶりに、美女と野獣で、山口優太さんを見ました。


逆に、最近は、6枠はいつも玉井晴章さんです。ニヤッと微笑むのがよいです。


マットは和泉澤広野さんで、今日も軽快なバク宙を披露していました。


女性は、みなさん、ダンスが上手いのですが、その中でも目立ったのが、武田恵実さんかな。芯がぶれないので、ターンにしてもジャンプにしても美しく見えます。


松元恵美さんは、久しぶりでした。

(いつも岩井千秋さんなので)

恵美さんのあっかんべー👅を久しぶりに見ることができました。(オリジナル)


引木愛さんも久しぶりかも。楽しそうでした。

もう、ヴィクには、いかないのかなぁ。


達郎さんを長いこと見ていますが、ノートルダムの前と後で、大きな変化があったように思います。

歌は、元々天才的だと思いますが、ノートルダム後は演技へのこだわりが増大したように思います。

ほとんどの出演した作品を見ていますが、カジモドが転機だったと思います。

数年後、ファントムかなと期待しています。


本日の美女と野獣は、達郎さん目当ての人が多かったかもしれませんね。

そんな空気感でした。


【午後4時過ぎは明るいです】

【キャスボ】

【手鏡】


【席はCブロック】