久しぶりの『オペラ座の怪人』でした。


1階上手後方が空席でしたが、他は、ほぼ埋まっていましたね。(団体さんのキャンセルでしょうか)

この時期は、致し方ないかもしれません。



ともかく、熱い舞台でした。


岩城ファントムは、とても熱いですね。

見るたびに、変化があります。

「岩城さんの目指すファントムとはこれだ」という岩城さんの考えが伝わってきますね。


例えば、ラストで、クリスティーヌにキスされた後、佐野ファントムはくちびるを触ることで、「何だこれは、これがキスなのか」って表現をしているように思います。


一方、岩城ファントムは、ともかく呆然とした様子をうまく表現しています。

あのちょっとだけぎこちない歩き方などなんとも言えない雰囲気を出しているように思います。

「これがキスなのか」ってことまで、思考が回っていない感じです。


ファントムは、キスなんて経験ないでしょうから、それをどう表現するのか、見ていてとても面白いものです。


飯田ファントムは、キスされて混乱しているのに冷静を装うファントムって感じでしょうか。

心は乱れているのに、平静であるように見せようとしているのかもしれません。


この辺の違いは、俳優さんの個性が出ていて興味深いです。


岩城さんは、歴代ファントムの中でも高音域ですよね。今の3人だと、岩城、飯田、佐野の順かなと思います。どちらかと言えば、ファントムは、バリトンやバスの音域に慣れているので、音域だけでも、岩城ファントムの激しさを感じます。


あと聞くたびに、ロングトーンが伸びているように思います。

演技も変わっていますが、それ以上に歌は進化しているように聞こえます。

(すごいお稽古しているのでしょうね)



山本紗衣さんは、本当に演技が細かいです。

今日は、センターの前から数列目でしたが、オペラグラス持参で、表情もバッチリ見ていました。


怪人の家で、仮面を取る時、紗衣クリスティーヌは、いたずらっぽく薄笑いをしているのですね。

これ、今まで気がつきませんでした。

ちょっと冗談ぽくふざけて仮面を取ってみようと軽い気持ちだったのかも。

それが、思いもよらずファントムの怒りを買ってしまい、とても怖い思いをしたといくことなのでしょうね。だから、泣きじゃくることになるのでしょう。


今回、ファントムといい、クリスティーヌといい、感情の起伏が大きくて、わかりやすいです。

しかも、感情を激しくすると、演技がわざとらしく見えがちですが、そういうこともなく、出来るだけ自然な感じで、感情の起伏を出しているのが素晴らしいです。


紗衣さん、演技は素晴らしいのですが、歌はややお疲れ気味でしたね。

明らかに、声量不足。

本来の紗衣ちゃんではなかったです。


実質的に、1人クリスティーヌが続いていますので、プレッシャーがあるのだと思います。

久保佳那子さんも調子がイマイチですし、たぶん、テンポラリーだと思います。

海沼千明さんは、アナ雪と掛け持ちですし、岩城あさみさんは喉の調子が良くないみたいです。

千明さんに戻ってきて欲しいものです。

また、新クリスティーヌの登場が待たれますね。

個人的には、あさみちゃんの復活に期待しています。(年末くらい?)



その他、イルムートの時、支配人のボックス席では、平良フィルマンは、退屈そうにあくびをしていました。いい感じです。


雲田レイエは、どうしてもザズに聞こえてしまいます。←以前も同じことを書きました。


ブケーの田辺容さん、出番は少ないですが、しっかり目立っていました。(ドンファンのお稽古の時)←ブケー役ではない時です。


ハンニバルで、ビアンジが「ロームの餌食♪」と歌うと中田成美さん(豹柄)と荒巻くるみさん(しまうま柄)が「あっ、ちゃんと歌ってるじゃん」みたいな会話を笑いながらしていました。(上手の奥)

さらに、荒巻さんは、ビアンジが「いつの日か討たんローマを♩」とローマと言ったので、「もう、あいつ」みたいなあきれ顔をしていました。



加藤迪ラウルは、今日も絶好調なのですが、なんか、ズボンがよろよろだったような気がします。アイロンがしっかりとかかっていないのかなぁ?



河村彩さんは、一番安定しているかもしれません。

連投はできるし、いつも1幕は河村彩が目立ちますね。

今日もステキな歌を聞かせていただきました。



北澤裕輔アンドレは、いいですね。

北澤さんの歌のうまさがよくわかる役だと思います。

平良さんとのコンビの方が、合っているように思います。



木村智秋さんは、マダム・ジリーにしては、目立ちますね。厳しさが増してきています。



女性ダンサーは、今日もステキでしたよ。

藤本典子さんは、キレがよいです。今日もシェネがステキでした。タイミングの外し方もよいですね。

石田真子さんは、くりくりした目がステキです。

宇佐見舞さんは、笑顔がステキです。一番ニコニコしているのではないかと思います。


そして、最後に、高井治さん、よーく声が出ていますね。ビアンジよりも声が出ていますね。

これだと、高音が出るのであれば、ファントムできますよね。

ないかなぁ〜



もう一つ、指揮者は柏木正信さんでした。

ほぼ問題ないように思いましたが、入りのタイミングが合わないところがあったように思います。(紗衣さんが合わせていました。)

俳優さんとの阿吽の呼吸というのでしょうか、指揮者も大変ですね。



今日も、熱いオペラ座の怪人を楽しみました。

俳優さんたちは、土曜日のソワレで、疲れもピークかもしれませんね。

あと1日頑張ってください。