監督・松本隆、主演女優・聖子。
名コンビが演出。映画色のクリスマス・バラード!
日本の歌謡史上、クリスマスに最も勢力的に取り組んだ女性歌手は、松田聖子。
聖子はデビュー3年目の1982年冬、クリスマスアルバム「金色のリボン」をリリース。
「赤い鼻のトナカイ」「ジングルベル」等のメドレーを歌唱。ユーミンの「恋人はサンタクロース」をカバー。
87年には、大江千里作曲のシングル「Pearl-White Eve」をリリース。オリコン1位を獲得。
93年には、全編書き下ろしのクリスマスアルバム「A Time for LOVE」をリリース。
2009年には、20曲収録のクリスマスソング・ベストアルバム「Seiko Matsuda Christmas Songs」をリリース。
量のみならず、質・人気共に、聖子はユーミンと並ぶ日本のクリスマスPOPSの最功労者だ。
「Please Don't Go」は、87年のクリスマス・アルバム「Snow Garden」に収録されたクラシカルなバラード。
曲は、2分近くに及ぶクリスマスの街の雑踏のSEでスタート。
恋人を見送るため、駅へ急ぐ女性のハイヒールの足音。やがて、蒸気機関車の汽笛の音で足音は止まり…。
冒頭にそんなシネマティックな演出が施されたこの曲は、それに続く松本隆の歌詞も映画色!
冬の粉雪舞う駅での恋人との別離のシーンが「ゆうべ飲んだ白ワイン 今は涙に変わって 思い出を酔わせる」なんていうロマンティックなフレーズで美しく展開。
機関車のSEや「動いた列車のデッキで 腕時計外すのね」という歌詞が物語るように、この曲の世界は日本ではなく、おそらく戦前の欧米。イングリット・バーグマンやイザベラ・ロッセリーニあたりのモノクロ映画の世界を想起させる。
そして、そんなロマンティック・シネマの世界を、しっかりと体現する聖子のボーカルがやはり素晴らしい!
監督・松本隆、主演女優・聖子。
この名コンビの創出した最もシネマティックな楽曲であり、最も映像的なクリスマスソング。
今年もぜひ聴きたい。
「Please Don't Go」
作詞:松本隆
作曲:南佳孝
編曲:井上艦
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