ジュリーにしか出せないポップさと隠微さが同居!
70年代末期バブルガムポップの傑作!
「大嫌いなこの歌!」
1992年のツアーで久々に「OH!ギャル」を歌った沢田研二は、歌い終わるやこう叫んだ。
「OH!ギャル」は、79年のジュリー27枚目のシングル。
オリコン5位。売上27万枚のヒット曲だが、ジュリーは当時から「自分の持ち歌で最も嫌い」と公言していた。
ジュリーがこの曲を嫌った理由は、阿久悠の歌詞。
前年、少女向け情報誌「ギャルズ・ライフ」が創刊され、「ギャル」は当時の流行語に。
そんな流行語を安易に使ったタイトルに、ジュリーは抵抗を感じていた。
当時の阿久は、ピンクレディーの大ヒット曲で一世を風靡。
世界の本塁打王・王選手の人気に乗り「サウスポー」を書き、映画「キングコング」の大ヒットやオカルトブームを背景に「モンスター」「透明人間」を作詞。
機を見るに敏な作詞家だった。
派手な衣装と振り付けで歌番組を席巻するピンクに対抗できる男性歌手は、当時ジュリーしかおらず。阿久はジュリーを「男版ピンクレディー」と位置づけ、奇抜な歌詞を提供。
ジュリーも派手な衣装とパフォーマンスで、それに応えていた。
が、ジュリーが問題視したのは「OH!ギャル」の歌詞のあまりの内容の薄さ。
「ギャル」をひたすら繰り返すサビ。「MONDAY」から「SUNDAY」まで女性への注文を並べた平メロ。
それまで阿久が書いた「勝手にしやがれ」や「カサブランカダンディ」は、奇抜な中にも「男のやせ我慢」「強がり」が宿るペーソス溢れる歌詞だった。
ところが、「OH!ギャル」は流行語「ギャル」の連呼ありきのバブルガム・ポップ。
ジュリーの思い入れは薄く、当時の「夜のヒットスタジオ」で、2番の歌詞をサビ部分まで忘れるという失態も演じている。阿久と沢田は、翌年コンビを解消。
が、歌唱時のデードリッヒ風メイクの妖しさ。
「ギャ〜ルゥ〜♪」という語尾の隠微なネットリ感。
見どころ、聴きどころ満載。ハンドクラップが軽快なこの夏ポップスは、ファン人気は高い。
そんなに嫌わないで!とジュリーに言いたい。
「OH!ギャル」
作詞:阿久悠
作曲:大野克夫
編曲:船山基紀
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